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新宿を「虎のお面」で新聞配達する71歳の正体

3/20(水) 5:40配信

東洋経済オンライン

 タイガーマスクのお面にまっピンクのアフロヘア、極彩色の服、多数のぬいぐるみや造花……。新宿を歩いていると、そんなカオスな出で立ちの人物を見かけることがある。新宿で虎のお面を被り続けて45年、通称「新宿タイガー」だ。

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 その正体は、原田吉郎さん(71)。職業は新聞配達員。朝日新聞新宿東ステーション(ASA大久保)に勤め、今なお朝・夕の新聞配達を毎日行っている。担当エリアは新宿三丁目界隈だ。

■夜はタイガーのいでたちでゴールデン街へ

 新宿タイガーには、大の映画好きという顔もある。仕事が休みの日や、夕刊がない日曜を中心に映画館へ通い、1日に3~4本はしごすることも珍しくない。劇場で座る席は「映画におもいっきり没入できるから」という理由で最前列の中央と決めている。

 夜は毎晩のように新宿ゴールデン街へ飲みに出る。仕事休みが火曜なので、月曜夜は朝方まで飲むことも少なくないという。新聞配達も、映画鑑賞も、ゴールデン街も、電車も、外出はすべてタイガーの装いで行う。

 そんなタイガーの勇姿を比較的見かけやすいのは、朝刊を配る早朝、夕刊を配る15~17時くらいの新宿三丁目付近と、夜のゴールデン街だ。今では「新宿タイガーを見るといいことがある」「一緒に写真を撮ると幸せになれる」といった都市伝説もあるほどで、ついにこの3月、彼を追ったドキュメンタリー映画も公開される。

 それにしても、このスタイルを45年間続けるというのは、並大抵のエネルギーではない。デコラティブな衣装の総重量は10キロほどもあり、取材当日も部屋のドアを通ったり、着席したり、階段を上ったりするだけでも相当に難儀そうだった。これを半世紀近くも続けるというのは、言葉は悪いが狂気すら感じさせる。

 そもそも、なぜ新宿タイガーになろうと思ったのだろうか。

 タイガーの出身は長野県松本市波田地区。実家は養蚕農家だった。生年は1948年で、現在71歳。タイガーは幼少時代をこう振り返る。

 「田んぼの中にある藁葺き屋根の一軒家で幼少を過ごしました。当時はお祭りのときに夜空の下でいろんな映画を無料で観せてくれました。それはそれは楽しみでしたね。だから祭りから祭りへと観に行っていました。あと当時はテレビが始まったばかりでまだ白黒でしたが、月光仮面や白馬童子、まぼろし探偵、快傑ハリマオ、豹(ジャガー)の眼なんかがヒーローでしたね」

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