ここから本文です

「梅宮辰夫」独占手記 がんで考える自分の“引き際”、芸能界での最後の仕事は…

3/20(水) 8:00配信

デイリー新潮

「梅宮辰夫」芸能界への遺言(3/3)

 6度目のがん闘病、そして人工透析を必要とする身となった“辰兄”の手記。過去のがん発覚時には「俳優という仕事柄、体にメスは入れたくない」と他の治療法を試し、また透析にあたっては「必要となると、連日公演が続く舞台の仕事は受けられない」と手術を受けるかどうか迷った。そんな梅宮辰夫(81)による“芸能界への遺言”である。

【写真】闘病を支える梅宮ファミリー

 ***

 確かに、がんと向き合っていると、否応なく自分の引き際について思いを巡らすようになります。

 昨年、僕が渋谷の自宅を売り払って真鶴に移り住んだ時、「引退」と騒ぎ立てる報道があったでしょう。本当のことを言えば、僕と女房の年寄り2人が暮らすには渋谷の自宅が広すぎただけなんです。女房から「管理費もバカにならないし、どっちか売ってちょうだい」と言われたので、渋谷の自宅を売って真鶴の別荘に引っ越した。それを「引退」と言われてもねぇ。

 そもそも、俳優の引退は本人が決めるものではないんですよ。世間から「もうアイツの顔は見たくない」と思われたらお払い箱。そうなったら、20代だろうと80代だろうと俳優業を引退しなければならない。

 反対に「まだまだ頑張ってくれよ!」という声がある限り、それに応え続けるのが俳優なんだ。

 だから、芸能記者やレポーターに「梅宮さん、引退されたんですか?」って尋ねられても困ってしまう。僕にしてみれば、「あなた方に追い掛けられなくなった時が“引退”ですよ」ということなんだ。

昭和の芸能界に戻したい

 一方で、僕がテレビに出なくなった理由はハッキリしています。単純にいまの芸能界が心底、面白くないからです。最近は顔つきも物腰も柔和な芸能人ばかりが幅を利かせていて腹が立つ。そんなに庶民的になってどうするの。昭和の時代のように、圧倒的な輝きやオーラを放つ俳優が見当たらない。一流の俳優には「どこで掘り起こしてきたんだ?」と思わせるくらいの圧倒的な存在感がないといけないんだ。

 商店街をブラついて、アンパンだか羊羹だかが有名な店に寄ったかと思えば、店主の能書きをひとくさり聞いて「美味しいですねぇ」なんておべんちゃらを言う。これは俳優の仕事じゃないですよ。芸能人は手の届かない存在でなければ価値がない。フルーツと同じで高級なものは桐箱に入れて鎮座していないと。ひと山幾らの奉仕品コーナーに置かれたら、どんなに美味しくても傷んでしまう。ダイヤの原石もバラエティ番組の「ひな壇」に並んだら擦り減って輝きを失うんだ。そうなったら、テレビ局の制作スタッフと同じで、番組を成立させるための「放送要員」に過ぎません。

 本音を言えば、僕も引退したいですよ。でも、このまま芸能界を去るのは癪なんです。俳優が俳優らしく生きられた昭和の芸能界に引き戻したい。俳優はCMに出演することじゃなく、芝居を見せるのが仕事。僕も俳優としての本分を全うしたい。無理かもしれないけど……、それこそが僕に与えられた最後の仕事だと考えています。そして、自分を鼓舞するためにこう言わせてください。「がんばれ! 梅辰サン!」。

「週刊新潮」2019年3月14日号 掲載

新潮社

最終更新:3/20(水) 10:16
デイリー新潮

記事提供社からのご案内(外部サイト)

デイリー新潮

新潮社

「週刊新潮」毎週木曜日発売

「デイリー新潮」は総合週刊誌「週刊新潮」が発信する最新の話題に加え、専任取材班による綿密な取材に裏打ちされた記事を配信するニュースサイトです。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事