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フォロワー9万超の人気アカウントが生んだ「ゆるい聖書入門」〈ベストセラー街道をゆく!〉

3/20(水) 7:00配信

Book Bang

「アーメン」は今風にいえば「それな」。ヨハネは「使徒一番のナルシスト」。実はクリスマスは「イエスの誕生日ではない」――ゆる~い解釈と面白エピソードの連続で、人びとが聖書や教会に対して抱く厳めしいイメージを覆し、目下メディアから熱い注目を浴びているのが『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』。発売から3カ月足らずで5刷1万8000部を突破し、現在も快調に売れ続けている。

 きっかけは「上馬キリスト教会」のツイートだ。これ、実在のプロテスタント教会が運営しているアカウントのもので、「まじめ担当」と「ふざけ担当」の二人が絶妙なバランスで繰り出すつぶやきが話題を呼び、いまやフォロワー数9万人を超える人気ぶり。1ツイートに数千の「いいね」がつくことも珍しくない。今回の刊行は、彼らの試みに惚れ込んだ出版エージェントの協力によって実現した形だ。

「日本では仏教はともかく、それ以外の宗教に関しては、接するハードルが非常に高いと思われている。もっと親しみやすく、楽しく接点を持ってほしい」とは、まじめ担当の横坂さんの弁。その言葉どおり、本書は旧約聖書&新約聖書の「ざっくり概観」にはじまり、キリスト教にまつわるカジュアルなFAQに、聖書の名場面と教会用語の「目からウロコ」(実はこれも聖書由来)な解説、そしてキャラ立ちまくりの「使徒列伝」といったユニークな項目が続く。

 人によってはその大胆な切り取り方とツッコミぶりに眉を顰めるかもしれないが、そもそも本書のコンセプトは「伝道」ではない。〈私たちの言いたいことは「信じなさい」でも「聖書に従いなさい」でもありません。「まずは聖書を楽しんでみて!」です〉。つまり、読者自身が解釈を楽しめるよう、垣根を取っ払うことに専心しているわけだ。

〈聖書には「神様を信じてね」とは書いてありますが、「神様に疑問を持ってはいけない」とは書いてありません〉――本書の「ゆるさ」の根っこには、実は「本を読む」という行為においていちばん大事な要素が眠っている、のかもしれない。

[レビュアー]倉本さおり(書評家、ライター)

新潮社 週刊新潮 2019年3月14日号 掲載

新潮社

最終更新:3/20(水) 10:24
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