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鎌田大地がポスト大迫になれる理由。ゼロトップ的ストライカーの可能性。

3/20(水) 11:01配信

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 その言葉には、欧州2シーズン目に懸ける、不退転の覚悟が滲んでいた。

 昨年10月のムスクロン戦のことである。2-1とシント・トロイデンがリードして迎えた後半アディショナルタイム。自身が倒されて得たPKを自ら蹴ってシーズン3点目のゴールを叩き込んだ鎌田大地は、ボールをユニホームの腹に入れ、おしゃぶりのポーズでゴールセレブレーションを行なった。

【写真】香川真司がまだ10番じゃなかった頃。

 数日前に、待望の第一子が誕生したばかりだった。

 生まれてきた子どもへの感謝と妻への労いの気持ちを伝えるため、PKキッカーを志願したように思えたが、鎌田はきっぱりと否定した。

 「いや、パフォーマンスがしたいというより、僕は本当にこの1年、結果が大事だと思っていて。純粋に得点数を増やしたかったんです」

 そこで鎌田はひと呼吸置き、鋭く、こう続けたのだ。

 「これ以上もう、(海外での挑戦で)下はない。ここでダメだったら、Jリーグに戻るしかなくなる。それくらいの覚悟でいるので、まだまだ足りないと思います」

森保監督も満を持しての招集。

 22日から始まる3月シリーズでコロンビア、ボリビアと対戦する日本代表に、ベルギーのシント・トロイデンに所属する鎌田が初選出された。

 選出の理由について森保一監督は「ゴールという結果を残しているし、昨年視察した際にも、攻撃の起点として、核として機能していた」と語った。

 実際、森保監督は昨年11月シリーズでの招集を視野に入れていたようだが、鎌田自身のコンディションの問題もあって実現しなかった。アジアカップを終えたこのタイミングでの招集は、「満を持して」と形容していいだろう。

なぜストライカーとして覚醒したか。

 鎌田が今季、ここまでに積み上げたゴール数は、実に12。サガン鳥栖時代からシュートのうまさには定評があったが、もともとはスルーパスを繰り出し、ドリブルで仕掛けることもできる、オールラウンダーのアタッカーだった。

 本人も「自分の適性は4-3-3の8番(インサイドハーフ)か、4-2-3-1のトップ下」と語っている。

 そんな男がなぜ、ストライカーとして覚醒したのか――。

 背景にあるのは、ドイツのフランクフルトに所属していた2017-18シーズンにおける不遇である。

 「もう苦しくて、苦しくて仕方がなかったです……」

 フライブルクとの開幕戦にスタメン起用され、最高のスタートを切ったように見えたが、その後、ベンチ外の日々が続く。もっとも、困難は加入した当初からあったという。

 「周りから見たら最高のスタートを切ったというイメージかもしれないですけど、練習で自分が通用する気がしなかった。スピードも、強度も全然違うし、ピッチはツルツルで滑るのに、みんな100%でスプリントする。それにタッチ制限もあって、付いていけなかった。シーズンも半ばになって、ようやく慣れた頃には陣容が固まっていて、入る隙がなかった」

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最終更新:3/20(水) 13:51
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