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光石研『デザイナー 渋井直人の休日』の“おじさんドリーム”にゾワゾワする理由

3/21(木) 11:00配信

文春オンライン

 さて、ここで問題です。近くにいると鬱陶しいのに、テレビ画面で見るとつい癒されてしまうものってなんでしょう。

『デザイナー 渋井直人の休日』予告編を見る

 キーボードに乗ってくる猫? 恋愛トークを繰り広げる女子高生? ベッドにもぐりこんだ大型犬?

 正解は「わちゃわちゃするおじさん」です。

おじさんドラマのバブル到来か?

 昨年の『おっさんずラブ』(テレビ朝日系列)大ヒットを受け、ドラマ内でおじさんの価値が急上昇した感がある2019年。冬ドラマでは退職刑事の西島秀俊、小日向文世、野口五郎、角野卓造、近藤正臣らがシェアハウスに住み、新人刑事とともに事件を解決する『メゾン・ド・ポリス』(TBS系列)や、閉ざされた空間に浜野謙太をはじめ、終始おじさんばっかり出てくる『面白南極料理人』(テレビ大阪制作)など、おじさんをフィーチャーした作品もスマッシュヒット。

 また、4月からは天海祐希兄さんがコワモテ刑事を率いる『緊急取調室』(テレビ朝日系列)の新シーズン、高橋一生、斎藤工、滝藤賢一が揃う『東京独身男子』(テレビ朝日系列)、さらに西島秀俊と内野聖陽が同居カップルを演じる『きのう何食べた?』(テレビ東京系列)もスタートし、まさにおじさんドラマのバブル到来といった感も。

52歳独身、フリーランスデザイナーの日常

 そんなわちゃわちゃしたおじさんたちがドラマシーンを席巻する中、なんとも言えないおサレ感と気恥ずかしさとをミックスした世界観を背負い、1人頑張るおじさんが存在するのをご存知でしょうか。

 ドラマ『デザイナー 渋井直人の休日』(テレビ東京系列)で描かれるのは、52歳独身、フリーランスデザイナーの日常。渋井直人を演じる光石研は、これが連続ドラマ単独初主演。ストレートに切り揃えたまことちゃんばりの前髪とマーガレットハウエルっぽいダッフルコート、対照色のマフラー、足元はクラークス、手には白地のキャンバストートと、抜け感満載のファッションで抜け感満載の休日を過ごします。

「恥ずかしい」「ゾワゾワする」とのご意見も

 このドラマ、視聴者の感想がばっさり分かれているのがおもしろい。渋井直人のライフスタイルや独特のモノローグを「可愛い」「親しみやすい」「ずっと眺めていたい」と肯定的に捉える層もいれば、「痛い」「恥ずかしい」「ゾワゾワする」とのご意見も。

 前者はそのまま素直に見ていただくとして、後者の「恥ずかしさ」「ゾワゾワ」の正体が気になるところです。

 ドラマの設定上、渋井直人の年齢は52歳。1966年生まれと考えれば、浪人せず4年制大学卒業で就職した時、世の中はまさにバブルの最終章。クリエイティブ職にとって、今の100万倍はイケイケだった時代。

 そこから約4年、ギロッポンでチャンネーとシースーという中山秀征的な、もしくは元麻布の隠れ家イタリアンで読モとティラミスといった石田純一的なバブルは崩壊し、その後社会に出た若者たちは「ロストジェネレーション」とも呼ばれて、時代はティラミスからもつ鍋へ。

 渋井直人はバブル最終章に若手として師匠や先輩たちから足蹴にされ、やっと独り立ちして自分の名前で仕事ができると思った矢先にバブルが崩壊しちゃったトホホな人じゃないかと思うのです。バブルからロスジェネへの切り替え時にイロイロこじらせてしまった世代のクリエイター。

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最終更新:3/21(木) 11:00
文春オンライン

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