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グーグル、EUでさらに厳しい是正措置も、影響は軽微

3/21(木) 12:00配信

JBpress

 米グーグルは3月19日、同社のモバイルOS「Android」を搭載するスマートフォンについて、欧州のすべてのユーザーが、自分の好みの検索アプリとウェブブラウザーを選択するよう促す計画だと発表した。

 また、検索結果画面に表示する広告について、競合ショッピングサイトへの直接的なリンクを表示するという、新たな方式の実験を行っていることも明らかにした。

■ EU競争法違反で過去最高額の制裁金

 これらは、いずれも欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)の是正命令に応えたものだ。

 欧州委は昨年(2018年)7月、グーグルがAndroidを利用し、ネット広告事業で他社の参入を妨げているとし、約43億4000万ユーロの制裁金を科した。また、一昨年6月には、商品の検索結果画面で、自社ショッピングサイトを、他社サイトよりも有利な位置に表示したとし、24億2000万ユーロの制裁金を科した。これらの合計金額は67億6000万ユーロ(約8600億円)で、EU競争法を巡る単独企業への制裁金としては、過去最高額だ。

 グーグルは、この制裁金を不服として上訴しているものの、最終的な判決が下されるまでは是正命令に従わなくてはならない。そうした中、グーグルが2017年と2018年の是正命令に応じていないとの苦情を、競合企業が申し立てた。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、もしグーグルが、十分な措置を講じない場合、欧州委は、新たな是正命令を検討することにしていた。その際は、最大で、同社全世界の1日の売上高の5%が科される可能性があったという。

■ 検索とブラウザーの義務付けを廃止

 グーグルは、昨年の是正命令を受け、同年10月に、欧州におけるAndroidのライセンスモデルを変更すると発表した。

 同社はそれまで、アプリ、音楽、動画、書籍などのデジタルコンテンツを配信する「Google Play」をプリインストールして販売するスマートフォンメーカーに対し、検索アプリ「Google Search」とウェブブラウザー「Chrome」を併せてプリインストールするよう義務付け、その代わり、これらをすべて無償提供していた。

 しかし、Google Playは人気があるため、多くのメーカーは、このアプリのプリインストールを希望する。こうした状況が、グーグルの検索広告とディスプレー広告を優位なものにしており、EU競争法に違反すると、欧州委は結論付けた。

 そこで、同社は、Google Playと、検索アプリ/ウェブブラウザーを切り離す代わりに、Google Playのみをプリインストールするメーカーに対し、有償ライセンスを用意した。

 今回グーグルは、同社の検索とブラウザーを選択しない道を、端末の所有者にも提供したというわけだ。

 これまでも利用者は、他社の検索アプリやブラウザーをダウンロードすることができた。しかし、グーグルは今回の声明で、「検索とブラウザーには、幅広い選択肢があり、それらをいつでも自由にダウンロードして利用できることを、確実に知ってもらう」と説明している。

■ 「時すでに遅し」と専門家

 グーグルは、売上高の85%がネット広告によってもたらされている企業である(ドイツ・スタティスタのインフォグラフィックス)。今回の措置によって、広告収入が減少し、グーグルの事業全体に大きな影響が及ぶ可能性があるといった声も聞かれる。しかし、ウォールストリート・ジャーナルは、その影響はおそらく軽微だろう、とする専門家の見解を伝えている。

 今のグーグルは、ネットサービス市場の巨人であり、もはやライバルは同社に太刀打ちできない状況だという。「時すでに遅し。かつてあったような競争関係を取り戻すことは極めて困難だ」と、この人物は話している。

 (参考・関連記事)「グーグル、Androidのビジネスモデルを初めて変更」
(参考・関連記事)「それでもグーグルの市場支配は続く」

小久保 重信

最終更新:3/21(木) 12:00
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