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5000万円がゼロ円に…「廃墟化」するリゾートマンションの悪夢

3/21(木) 11:01配信

現代ビジネス

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「終の棲家」であるはずのマンション。しかし、このままでは数十年後、多くのマンションが「廃墟化」するという。どうすればマンションが「粗大ゴミ」になるのを食い止められるのか? 『すべてのマンションは廃墟になる』の著者で、住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、バブル期に建てられた新潟県・湯沢町のリゾートマンションが、まさに現在「廃墟化」していると指摘。その驚きの実状を、明らかにしてくれた。
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「バブル」がもたらした悪夢

 ホイチョイ・プロダクション製作の映画「私をスキーに連れてって」が公開されたのは、1987年の11月。世の中は、あの平成大バブルの絶頂に向かって盛り上がっていた。また、スキーブームにも沸いていた。東京に住む多くの若者は、冬になると二度か三度はスキーに行くことがあたりまえだった。

 私はそのころ、広告制作会社の制作部門に在籍していた。もっぱら分譲マンションの募集広告を作らされていたのだ。

 あるとき担当させられた広告のひとつに、新潟県の湯沢町にできるというリゾートマンションがあった。

 「世の中には、マンションを買ってまでスキーをしたがる人がいるのか」

 そんなことを考えたのを覚えている。

 パンフレットや図面集、価格表を作った。価格を見て驚いたのだが、当時の東京の郊外型マンションとほとんど同じ水準だった。

 その購入費用と維持費用の総額は、同じリゾート地のホテルを利用した2泊3日のスキー旅行を毎年5回、30年続けた場合の費用よりも高額だったのである。

 「これを買う意味があるのか?」

 なんとも不思議な商品だった。そもそも、リゾートマンションという形態そのものが、温泉やスキーなどが目的や用途であるにもかかわらず、コストパフォーマンスでは説明できない不動産商品だったのだ。

 しかし、時はバブルだった。そういった商品に説明できない価格がついていても、それなりに売れていたと記憶している。そのうち、都心にあるようなタワー型のリゾートマンションまでが湯沢エリアに次々と登場した。湯沢エリアで、リゾートマンションブームが巻き起こったのだ。

 最終的に、湯沢町には約1万5000戸分のリゾートマンションが建設されたという。

 それで、現状はどうなっているのか。かなり悲惨である。

 まず、そういったリゾートマンションの資産価値は、ほぼゼロと考えていい。10万円で売り出されている物件も多数あるが、成約事例が多いとは思えない。

 このエリアのマンション売買は、H不動産というリゾート専門の大手仲介会社が、そのほとんどの取引にかかわっているはずだが、取引に関するデータを一切公表していない。またメディアの取材も受けつけない。

 一方、競売案件を調べてみると、多くの物件が備忘価格になっている。備忘価格とは実質ゼロ円なのだが、帳簿上ゼロ円だと存在しないものとされるので、形だけ価格をつけておく、というもの。競売開始額が1万円とか5万円に設定されているのだ。

 つまり、裁判所も、湯沢町の多くのリゾートマンションは実質ゼロ円だと見做しているのだ。

 かつては3000万円から5000万円以上で販売されたリゾートマンションが、今やその価値がゼロ円だと見做されている。これは日本の分譲マンションの歴史における、かなり衝撃的な出来事ではなかろうか。

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最終更新:3/21(木) 11:01
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