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「生きていたら41歳。きっと孫も…」桶川ストーカー殺人事件から20年 被害者の父が語る思い〈AERA〉

3/25(月) 11:30配信

AERA dot.

 ストーカー規制法が生まれるきっかけとなった、桶川ストーカー殺人事件から20年。警察が把握したストーカー被害は5年連続で2万件を超え、いまも増え続ける。娘を亡くして以来、講演を続ける父親に思いを聞いた。

【殺人に至るような事件が後を絶たない 過去の主なストーカー事件はこちら】

*  *  *
 埼玉県桶川市のJR桶川駅。西口駅ビル前に、いまも誰かがそっと小さな花束を供えていく。20年前、ストーカー被害を受けていた猪野詩織(いのしおり)さん(当時21)が、交際を断った男の仲間たちによって命を落とした場所だ。

「ずっと毎日毎日、いま詩織が生きていたら、と考えます。夢のある子に育ってほしい、そんな願いを込め『詩織』と名づけました。本当に家族思いのやさしい子で、生きていれば41歳。結婚して子どももいて……。私と妻は、孫の面倒をみているのではないかと」

 父親の憲一さん(68)が静かな語り口で心の内を吐露する。同県上尾市の自宅の居間には、詩織さんの遺骨を納めた骨壺がある。いまだに墓に埋葬する気持ちになれず、憲一さんと妻京子さん(68)は居間に布団を敷き、毎晩一緒に寝ている。

 1999年10月26日。

 当時大学生だった詩織さんは、JR桶川駅前で元交際相手の男の兄やその仲間に刺殺された。交際を断られて逆恨みした男は事件前、仲間と共謀して詩織さんを中傷するビラを自宅周辺の電柱に貼ったり、憲一さんの職場に送りつけたりしていた。名誉毀損容疑の告訴を受理した警察が捜査に乗り出さなかったことや、調書の「告訴」を「届け出」と改竄し、告訴の取り下げを要請していたことが大きな社会問題となった。詩織さんの名誉を傷つけるような報道もされた。

 事件はストーカー被害を見直す契機となり、詩織さんの死から約半年後の2000年5月、ストーカー規制法が超党派による議員立法で成立した。ストーカー行為を明確に「犯罪」と定め、警察による警告などの行政措置を盛り込んだ。法律は改正を重ね、現在はLINEなどSNSを使ったメッセージを繰り返し送りつけるといった行為にも規制の対象が広がっている。罰則はストーカー行為が懲役1年以下か罰金100万円以下、禁止命令に違反してストーカー行為をした場合は懲役2年以下か罰金200万円以下と、以前よりは多少厳しくなった。

●全国のストーカー被害は、5年連続で2万件超

 だが、さまざまな形でストーカーによる被害は続いている。全国の警察が把握したストーカー被害は17年に2万3079件と、5年連続で2万件を超え、ストーカー規制法が成立して以来、過去最多を記録した。殺人に至るような事件も後を絶たない(表参照)。

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最終更新:3/25(月) 14:15
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