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東京・銀座 THE GINZA SPACEにて『山本容子展 -時の記憶-』が開催中

3/22(金) 18:47配信

T JAPAN web

銅版画家・山本容子が“旅”をテーマに2001~02年に描いた作品が、まるで絵巻のように――

 ときにウィットに満ち、ときに味わい深いストーリーを思わせる独自の銅版画で知られる画家の山本容子さん。現在、東京・銀座の多目的スペース「THE GINZA SPACE」で開催されている個展は、いつもとちょっと趣が異なっている。

銅版画に移していく工程を垣間見える、アトリエの再現スペースも

 展示室に入ると、まるで大きな巻物を目の前に、自分がミニサイズになってしまったかのような錯覚に陥る。「巻物」を構成するのは、30cm四方に満たない和紙に刷られたいくつもの銅版画。それらが縦に5枚、横に77列、糸でつながり、ひとつの大きなインスタレーションとなっているのだ。テーマは“旅”。パリを中心に、19世紀半ばから1960年頃までの、乗り物やモード、時代を象徴するアーティストや小説家などの著名人が、一枚一枚、小さな窓からこちらをのぞくみたいに描かれている。

 これらの絵が描かれたのは2001年から2002年にかけて。新たに建設される東京・表参道のビルディングの工事用仮囲いを利用して、そこに光ファイバーを使って山本さんの絵を投影するという、かつてないアートワークプロジェクトが行われた。昼間は白一色の仮囲いが日没と当時に光によって美しく彩られ、斜めに張り出した落下防止柵から歩道にもアートが投影された。山本さんはその“光のアート”ために一年間365日、毎日一枚ずつの絵を加えていったのだという。そうして完成した385枚の絵は、その後『Bon Voyage わたしの時間旅行』という一冊の本にまとめられた。

 プロジェクトについて、山本さんは本のあとがきでこう語っている。「昔、パリのエッフェル塔が毎晩午後九時過ぎになると、美しい光のシャワーでキラキラ輝いていたことを思い出した。あれはほんとうに素敵だった。やわらかな光で絵を見せることができたら、殺風景な夜の工事現場が美しく変身するかもしれない。そして偶然絵に気がついた人だけが、楽しい思いをすることができる。そのうえで、私の絵と遊んでほしい」。彼女の描く絵同様に、洒脱な遊び心のあふれる、なんとも粋な試みだ。

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最終更新:3/22(金) 18:47
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