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アフリカ南東部襲ったサイクロン 大被害の理由

3/22(金) 19:32配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

予想外の進路でモザンビークと近隣諸国に甚大な被害を与えたサイクロン「イダイ」

 2019年3月、アフリカ南東部をサイクロン「イダイ」が直撃した。モザンビークの港湾都市ベイラの近郊では、1000人以上が死亡し、40万人が家を失ったとも伝えられている。南半球で起きた気象災害としては、史上最悪の規模となる可能性もある。3月19日、BBCの取材に対し、国連の当局者は、サイクロンが上陸したモザンビークで170万人、隣国のマラウイで92万人が被害を受けたと話した。

台風、竜巻、雷、豪雨…異常気象の衝撃写真13点

 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のジェイミー・ルスール氏は声明の中で、「被害の規模は不明ですが、被災者や死者の数はさらに増えるでしょう」と述べている。

 サイクロンは、インド洋南部、太平洋南部で発生する熱帯低気圧のことだ。サイクロン「イダイ」は最大風速約45メートルで、15日にモザンビークに上陸した。イダイによる高潮は約6メートルにもなった。モザンビーク国立気象研究所によれば、19日も150ミリを超える雨が降り、その後も雨が降り続いた。

 「私たちは今、被災地の真ん中にいます」と話した、ゴロンゴーザ国立公園の責任者グレゴリー・カー氏は、モザンビーク中央部で洪水が拡大し、道路や橋が押し流されていると報告。ゴロンゴーザ国立公園は、米国のロードアイランド州や日本の滋賀県ほどの大きさで、ベイラから約160キロの内陸にある。

「食糧援助を手配するため、朝から電話をかけ続けています。ヘリコプターで国立公園内の施設に物資を運んでもらい、私たちで近隣地域に配給したいと考えています」と話すカー氏。同氏によれば、ゴロンゴーザ国立公園の役割は野生生物の保護だけにとどまらないという。近隣の地域に雇用、医療、教育を提供しているからだ。そのゴロンゴーザ国立公園の職員たちは、現在、今回の災害の救援活動をしている。「道路は寸断されていますが、260人のレンジャーは歩くことが得意ですから」とはカー氏の言葉だ。

 19日、パトロールリーダーからカー氏に、一部のレンジャーが腰まで水に浸かりながら、シロアリ塚で孤立している人々に物資を届けたという報告があった。次はカヌーを出し、これらの人々を救助する予定だ。

 ゴロンゴーザ国立公園は半分ほど水没したが、動物は高台に移動している可能性が高く、「被害は最小限で済むのではないか」とカー氏は考えている。国立公園は水没したものの、このことは人が住む公園の近隣地域への水の被害は比較的小さいことを意味する。カー氏は、国立公園や森林などの自然環境が水害を食い止める役割は大きいと話す。干ばつ時には、国立公園や森が水の供給源となり、周辺地域に涼しさをもたらすことになる。「気候変動に起因する異常気象の影響を和らげるためにも自然は必要です」

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