ここから本文です

2019年のテニス界は大会毎に新しい優勝者

3/22(金) 16:42配信

テニスマガジンONLINE

 ロジャー・フェデラー(スイス)は2019年、ここまでに一つタイトルを獲得し、おかげでATPツアーの成績でタイとなりトップに立った――ほかの18人といっしょに。同じような前代未聞の勢力の拮抗は、WTAツアーでも起きている。WTAもここ13大会で13人の違った優勝者が誕生しているのだ。

大坂なおみがグランドスラム2大会連続制覇の偉業で世界1位に [2019オーストラリアン・オープン]

 プロ化以降のここ50年で、男子、女子、ましてやその双方で、このような形で年がスタートしたことは一度もない。今週と次週にかけ、男女共催のマイアミ・オープンが行われる中、例えばフェデラーは、層の厚さと独占的主権の欠如は、非常に興味深いものだと感じていた。

「そのことは間違いなく、双方のツアーで起きている勢力図の変化について何かを語っている。たぶん覇権を握るのがより難しくなっているんだ。あるいは、同じ者が優勝し続けるというのが、より難しくなっているのだろう」とフェデラーは言った。

「若い選手たちが道を切り開きつつある。もうかなりの間、僕らはその現象を目にしてきた。大会で優勝するのは容易なことではないが、彼ら若手にとっては、より容易になりつつあるようだ。それは良いことだよ。ほかのプレーヤーたちがそれほど優秀ではないという意味ではない。ただ、勢力図の変化が起こりつつあるんだ」

 先週のインディアンウェルズほど、その傾向が顕著になった週はなかった。

 男子シングルス決勝では、まだグランドスラム大会で優勝したことがない25歳のドミニク・ティーム(オーストリア)が、元世界1位で「20」のグランドスラム・タイトルを持つフェデラーに勝った。

 そして、それよりいっそう際立ったのは女子シングルス決勝で、1月まで一度もトップ100に入ったことがなく、ワイルドカード(主催者推薦)で出場した18歳、ビアンカ・アンドレスク(カナダ)が、元世界1位で3度グランドスラム大会を制した31歳のアンジェリック・ケルバー(ドイツ)に対して勝利をおさめたことだった。

「私たちは皆(多くの者)がほぼ同じレベルにあるところを目にしている」と、現世界1位の大坂なおみ(日本/日清食品)は言った。「そして基本的に、もっともそれを欲し、実現するための努力をつぎ込むことを厭わない者が勝つの」と言い添えた。

 彼女はここ2つのグランドスラム大会で優勝しているが、皆にチャンスの道が開けている今年に、彼女が勝ち獲った唯一の優勝杯がオーストラリアン・オープンのトロフィーだった。

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)はここ3大会連続でグランドスラム大会優勝を遂げているが、彼もまた、今年に入ってからはたった一度、メルボルンで優勝杯を掲げたに過ぎない。

 2019年にまだ優勝スピーチをしていないのは誰か? 最後のタイトルを、すでに妊娠中だった2017年オーストラリアン・オープンで獲ったセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)だ。

 過去にセレナ、フェデラー、ジョコビッチ、あるいはラファエル・ナダル(スペイン)が長く維持していた覇権のようなものは、もはや誰によっても誇示されていない。

「今は皆が、皆にチャンスがあると、より信じることができるのよ」と、現フレンチ・オープン・チャンピオンのシモナ・ハレプ(ルーマニア)は言った。

「そして大会優勝の可能性が皆に向け開けている事実が、戦いをファンたちにとってより面白いものにしているの」

 そう言ってから、彼女は冗談交じりにこうも言い添えた。

「そしてまた私たちにとってもね。もうセレナがすべてで優勝していた、かつてのようではないのだから」

 すべてのスポーツでそうであるように、テニス界でも、毎年、新しい名前がそこここで飛び出している。ただ、現在、通常より多くの新顔が浮上しつつある、ということなのだ。

「テニスを定期的に見ていない人々にしてみれば、男女数人の顔を知っているだけでしょう。こうも多くの優勝者、こうも厚い層を持つことは、毎週毎週、向上することを目指し努力を積むよう、選手たちを促すことにつながると思う。なぜって誰と対戦することになろうと、勝ちたいなら存分に走らされる覚悟でいかなければならない、ということがわかっているからよ」と、25歳のダニエル・コリンズ(アメリカ)は言った。

 コリンズは、今年のオーストラリアン・オープン準決勝に進出する前には、グランドスラム大会での5度の挑戦で、1勝を挙げることさえできていなかった。

「観客に関して言えば、私たち選手のより多くについて、そして、私たちの何人かがいかに優秀かについて、より知ってもらえるチャンスになると思う。それはテニスをプロモートする助けにもなるはずよ」

 フェデラーは、それが何であれ、不平を言う理由を見つけ出す者たちがいることを指摘した。

 例えば、『ひとりの選手がすべての大会で勝つ? 退屈だ』あるいは『数多くの選手が、すべての大会のタイトルを分け合っている? 誰が誰だかわからない』といった具合に。

 彼の見解は?

「正直、僕は実際、何が起ころうと常にいいことだと思うよ。すべてがポジティブだと見ている。僕は数人の選手が頂点を支配している時代を通り抜け、それからそうではなくなり、そのあとに非常に多くの優勝者が出現するようになった。そして人々はいつも、そういったことをかなりネガティブに受け止めていた」とフェデラーは言った。

「決して、いつでも適切ではない、といった具合にね。でも僕はいつも、常に良いという見方をしている。なぜってそこには、常に魅力的なストーリーがあるのだから」

 彼はATPツアーの『19大会に19人のチャンピオン』のトレンドが今後も続くか、には確信を持っていない。

「もうすぐクレーコート・シーズンがやってくる。それはラファの縄張りだ。それにノバクが、ここで倒すのが非常に難しい相手になるのは間違いない」とフェデラーは言った。

「たぶん、数ヵ月のうちにもう一度話すときには、すべては通常の状態に戻っているかもしれない。でも、たった今起きていることは、間違いなく良いことだよ」(APライター◎ハワード・フェンドリック、翻訳◎テニスマガジン)


MIAMI GARDENS, FLORIDA - MARCH 20: Roger Federer of Switzerland fields questions from the media at a player availability session on Day 3 of the Miami Open Presented by Itau on March 20, 2019 in Miami Gardens, Florida. (Photo by Michael Reaves/Getty Images)

最終更新:3/22(金) 16:42
テニスマガジンONLINE

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事