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北朝鮮の核、米軍撤収――半島情勢が日本を揺らす

3/22(金) 5:00配信

日経ビジネス

 2月末の第2回米朝首脳会談は、「案の定」というか、「遂に」というべきか、結局「決裂」した。米韓朝からの楽観的内部情報なるものを知る立場にあった人ほど「予想外」と感じたのではないか。もちろん、この結果を予測していたなどと言うつもりはない。だが、歴史的、戦略的かつ冷静に考えれば、米朝交渉を楽観視すべきでないことは明らかだろう。

 最近まで本邦専門家の一部は「金正恩は核廃棄を覚悟している」などと主張していた。だが、それが事実なら、こんな結果になるはずはない。やはり、北朝鮮は「非核化」、すなわち北朝鮮が現在保有する核兵器に加え、全ての核兵器運搬手段を含む開発プログラムそのものを破棄する点について「譲歩しない」と見るのが自然ではなかろうか。

 それにしても気の毒なのは北朝鮮外務省関係者だ。大統領外遊中の下院公聴会でトランプ氏の元個人弁護士が爆弾発言を連発し、トランプ氏は政治的窮地に追い込まれた。北朝鮮側がこうした米内政事情を熟知していたら、交渉は決着していたかもしれぬ。トランプ氏にとっては、首脳会談よりワシントンでの自身の評判の方がはるかに重要だからだ。

 会談決裂後、金正恩委員長は米側に再考を促したようだが、時すでに遅し。結果的に今回北朝鮮は米内政を読み誤り、サラミを薄く切り過ぎた(十分な譲歩をしなかった)のだ。深夜の北朝鮮外相記者会見に同席した外務次官は茫然自失、何か思い詰めたような表情だった。何の権限も与えられていない彼女が万一粛清でもされたら、あまりに不憫ではないか。

●米韓演習の縮小は実戦能力を下げる

 それはさておき、ここからは米朝首脳会談の決裂を受け、日本が何を学ぶべきか考えよう。今回の交渉決裂では、内外の一部メディアが「間違った合意よりは何も合意しない方が良い」といった専門家のコメントを引用しつつ、日本政府はむしろ「安堵している」などと報じていたが、これはあまりに浅薄な分析である。

 米朝間に合意がなければ、北朝鮮の核開発が予定通り続くだけだ。一方、米朝間で「間違った合意」ができても、北は核開発を止めない。そうだとすれば、日本が「安堵できる」ことなど何一つない。このままいけば、いずれ北朝鮮は小型化した核弾頭の量産を本格化させ、東京を標的とする核弾頭付き中距離弾道ミサイルを実戦配備するのだから。

 さらに、気になることがある。米国防総省は米韓両軍が毎年春に実施する大規模合同軍事演習の規模を縮小し内容を絞り込んだ訓練に変更して実施する方針を決めた。米国防当局は北朝鮮との緊張緩和に向けた措置の一環だと説明するが、トランプ氏はこれで巨額の費用が節約されたなどと主張する。やはり、この人は何も分かっていないようだ。

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最終更新:3/22(金) 5:00
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