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変わる渋谷 「ポスト孫正義」も育む子育ての街へ

3/23(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

■財団から徒歩3分、ハーバードに進む名門校

渋谷には起業家を育てるインキュベーションセンターや国際的な人材を養成する名門校が少なくない。実は大塚さんが通う中学校は孫財団から徒歩3分の場所にある渋谷教育学園渋谷中学(渋渋)だ。「勉強にも部活にも熱心に取り組む生徒が多い。ここには学校帰りに気楽に寄っている」と大塚さんは話す。
渋渋は生徒の約1割が東大に合格する受験校だが、ハーバード大学やエール大学、スタンフォード大学など米欧の名門大学に進学する生徒が多いのが最大の特長だ。田村哲夫校長は「東大は選択肢の一つ。海外の大学に進み、グローバルな人材に育ってほしい」というのが口癖だ。渋谷教育学園は実践的な英語教育に取り組み、海外大学へ進学するためのスタッフもそろえている。地元の幼児教育にも熱心で、渋渋と同じ敷地内には渋谷幼稚園もある。
渋谷の名門校といえば青山学院が有名だ。幼稚園から小中高、大学までほぼ同じ敷地内にそろっている。以前、文系学部の1~2年生は神奈川県の相模原キャンパスなどに通っていたが、13年に渋谷のキャンパスに文系学部全体が移転、集約された。サイバーエージェント社長の藤田晋氏など渋谷を代表する起業家を輩出した。

■著名な起業家 10代から渋谷が生活圏

東大出身の起業家も渋谷から次々生まれた。東大生の1~2年生が通う東大駒場キャンパスの住所は目黒区だが、京王電鉄井の頭線の駒場東大前駅は渋谷駅から2駅目で、渋谷は生活圏だ。ミクシィ会長の笠原健治氏や堀江貴文氏は、いずれも東大在学中に渋谷で起業した。笠原氏は次々オフィスを移転しながら、現在も渋谷に本社を置いている。GMOインターネット創業者の熊谷正寿氏も渋谷区の国学院高校に通った。10代から20代の多感な時期を渋谷で過ごし、生活圏にした起業家は少なくない。


渋谷区は、シニア層にもこの学校資源を活用してもらう試みをスタートした。19年度から青学など区内の8大学や企業と連携した「渋谷ハチコウ大学」を設置し、55歳以上の区民を対象に新たな学びの場を提供する。自身のスキルや経験を生かした社会貢献の場とするため、ベンチャー企業のアドバイザーなど新たな活動の場に対するマッチングも行う。
JR渋谷駅周辺では、「100年に1度」といわれる再開発が進み、街の様相は一変している。「渋谷ストリーム」に次いで「渋谷スクランブルスクエア」など超高層ビルが建設され、大型オフィス「南平台プロジェクト」が推し進められている。渋谷区役所も建て替えられ、その隣では地上39階建ての分譲マンションも建設される予定。「渋谷パルコ」もリニューアルオープンする予定で、宮下公園の再整備事業も進展中だ。オフィスが急増する一方で、高層住宅が新設され、公共施設や商業施設も一新されるが、複数の施設には子育てや起業家支援の空間が設けられるという。
渋谷区内のマンションに移転する30~40代のファミリー層も増えている。「子供を進学校に通わせやすいし、再開発で渋谷の価値は今後も上昇しそうだ。ちょっと無理しても渋谷の物件を取得するのは得なので引っ越しを考えている」(東京・大手町に勤める40代の会社員)という。渋谷でIT系企業を立ち上げた20代の起業家は、「渋谷はまだ家賃が高いので、今は世田谷に暮らしているが、事業が軌道に乗ればこの街に移りたい。起業は忙しいので職住近接でないと回らない」と語る。
孫財団では第3次のメンバーを募集・選定をスタートしており、年内にはさらに多くの異才が渋谷を核に活動することになる。イノベーションを起こしたいというメンバーが多く、大塚さんの目標も「早く起業すること」。渋谷を舞台に「ポスト孫正義」を目指して未来の人材が次々飛び出しそうだ。

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最終更新:3/23(土) 10:12
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