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あなたと家族に立ちはだかる老親の暗証番号、金庫のカギ問題

3/23(土) 11:01配信

現代ビジネス

業者に頼むと大ごとになる

 親が実家に遺した金庫を開けようと四苦八苦した経験を、吉田潤氏(51歳・仮名)が語る。

 「父がダイヤル式金庫の暗証番号を伝えずに亡くなってしまったのです。父の形見が入っている可能性もあったので、中身を確認したかった。でも、心当たりのある番号を手当たり次第に試しても、開かない。どうしていいかわからず、金槌や金属バットで叩き壊そうとまでしましたが、びくともしませんでした」

 自宅に金庫を持っている人は少なくない。だが、その暗証番号やカギの場所を伝えずに亡くなると、遺族は大変な苦労をする。

 金庫の中から現金や通帳が出てくれば、当然、相続財産になる。

 逆にいえば、金庫を開けられないと、相続財産を確定できない。

 その結果、遺産分割や相続税の申告に遅れたり、後から新たな遺産が見つかり加算税や延滞税を取られてしまう。

 途方に暮れた吉田氏は、ダメ元で金庫の販売元に問い合わせた。すると、意外な返答があったという。

 「『製造番号がわかれば、暗証番号の照会ができる』と案内されたのです」

 実は、購入する際に設定した暗証番号を、メーカーが控えている場合がある。故人との関係を示す身分証明書や書類があれば、暗証番号を照会して、カギを開けてくれる。

 「金庫の製造番号を伝えると、2週間ほど経過した後、担当者が自宅まで来てくれた。私の場合、免許証の提示で故人との家族関係が認められ、解錠できました」(吉田氏)

 だが、吉田氏のケースは、あくまで運が良かった場合だ。一般的には、金庫の解錠は、専門の業者に依頼することになる。

 しかも、業者に頼めば、誰もが金庫を開けることができるわけではない。カギのトラブルサービスを展開するジャパンベストレスキューシステム株式会社のマネージャー・玉置恭一氏が説明する条件は厳しいものだ。

 「最初に、依頼者本人の身分証明書を確認させていただきます。実際に金庫を開ける際には、依頼者以外の遺族の方が2人以上、立ち会うようお願いしています」

 2人以上の立ち会いとなると、実家が遠方だったりすると大変だろう。

 また、吉田氏のようなケースも、本来は独断で解錠するべきではない。ほかの相続人から「遺産を引き出した」と疑われ、トラブルになりかねないからだ。みお綜合法律事務所の澤田有紀弁護士が語る。

 「自分以外の遺族と相談し、カギを開ける際に公証人に立ち会ってもらう。その後、公証人に、金庫を開けた状況について公正証書を作成してもらうべきです」

 公証人の立ち会いが必要なほど、金庫の解錠は手間がかかるというのだ。暗証番号やカギの在り処さえ教えていれば、かからない手間だ。

 金庫と同様に、故人が暗証番号を伝えないことで、親族に負担がかかるのが銀行口座だ。

 亡き親の口座からおカネを下ろそうと奮闘した体験を、小山亮二氏(54歳・仮名)が語る。

 「亡くなった父は『自分の口座から葬儀費用を出してほしい』と話していました。しかし、肝心の暗証番号を伝えずに亡くなってしまったのです」

 名義人の死亡が自動的に金融機関に伝わることはない。つまり、こちらから言い出さなければ、口座は凍結されることはないのだ。

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最終更新:3/23(土) 11:01
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