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センバツ出場校・熊本西の「小学生への野球指導」が画期的な理由

3/23(土) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 23日から「春のセンバツ」が始まる。先月25日に代表校が発表された際、中でも、21世紀枠で選ばれた熊本西の紹介に思わず膝を打った。

 『「試合は勝負、練習は教育」の信念のもと、全員で練習に取り組み、全員でグラウンド整備に取り組む。部室管理班、ネット管理班、天気掌握班、野球普及・地域活性化班などユニークな班編成を組み、独自の視点で部活動の工夫に努めている』

 そう書かれていた。特に、この中の「野球普及班」に目が留まった。さらに調べてみると、部員たちが企画をし、地域の小学生たちと野球をし、野球少年を増やす取り組みをしているのだという。

 (小学生ならいいのか!)

 盲点というか、簡単なことに気付かなかった自分を恥じると同時に、熊本西高野球部「野球普及班」の限りなく大きな可能性に心が躍ったのだ。

 「高校球児が少年たちに野球を教える」、あるいは「一緒に野球をする」、たったそんなことのどこに興奮しているのだ? と笑われそうだが、それが「超画期的!」というところに、日本の高校野球の時代錯誤と閉鎖性がある。

● 高校生部員の「中学生」への野球指導を 厳しく禁じる高野連の“常識”

 日本高校野球連盟(以下、高野連)は、高校生が中学生に野球指導することを厳しく禁じている。そんな競技は野球以外に聞いたことがない。世界を見渡しても、高校生が中学生に同じく大好きなスポーツを教えたら厳罰に処されるなど、他に例がないだろう。

 だが、長い間、それが高野連の「常識」。誰一人、そのおかしさを指摘さえしない。日本中の高校野球部が、高野連の決めたルールに絶対服従している。高野連がシロだといえば、たとえクロでも「シロだ」という時代がずっと続いてきたのだ。

 高野連は、高校野球の監督だけでなく、部員たちが中学生に野球指導することを禁じている。理由は、「勧誘行為の禁止」だという。つまり、高校の監督が、中学生に野球を指導することによって交流を深め、自分の高校に誘う行為を禁じているのだ。不当競争禁止法とでもいおうか。

 特待制度や推薦入学はいまも存在する。だが、建前上は「野球」を理由に選抜してはいけない。だから、推薦入試の際に野球技術を見る実技審査をしてはいけない。

 各学校は、夏休みや秋の週末に「学校見学」の延長上で「部活動体験会」などを実施して、中学生との出会いの機会を何とか作り出している。しかし、許されざる一線を越えれば、高野連の厳罰が待っている。

 2年前のセンバツをめぐっては、この件で理不尽な「出場辞退騒動」が起こっている。

 埼玉県の市立川越高が、2017年秋の埼玉県大会で準優勝し、公立高で唯一関東大会に出場した。言うまでもなく埼玉県は、全国優勝もしている花咲徳栄、浦和学園をはじめ、聖望学園、春日部共栄など、強豪がひしめいている。この中での準優勝は公立高としてはまれに見る快挙だ。当然、21世紀枠の県代表に推された。ところが、ある告発によって、甲子園出場は幻と消えた。その理由を当時、日刊スポーツはこう報じている。

 『高野連によると、市川越の顧問は11月に中学生を練習に参加させ、監督も同席していたという。(2017年12月)5日の審議小委員会で、処分を日本学生野球協会審査室に上申することを決めた』

 中学生を練習に参加させたことが「とんでもない暴挙」という認識なのだ。

 「しかも監督がそこにいた! 故意の規則破りだ」

 この記事、この騒動に対して、私は「あまりにもおかしい」とコラムを発信したが、他にはほとんど問題視する動きはなかった。

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