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『まんぷく』要潤の好演にみる俳優としてのふり幅 弟子・上川周作とのシーンでもおかしみを発揮

3/25(月) 6:01配信

リアルサウンド

 NHKの連続テレビ小説『まんぷく』で、ヒロイン・福子(安藤サクラ)の義兄で香田家の主・忠彦を演じている要潤。ドラマの放送開始当初は、鳥の絵ばかり描いている売れない画家だったが、戦争で目を負傷して以降、がらっと作風を変え、抽象画を描くようになった今ではすっかり売れっ子になっている。

【写真】忠彦の弟子・名木を演じる上川周作

 朝ドラへの出演は2002年の『まんてん』に続いて2度目となる要。当時の彼は『仮面ライダーアギト』(テレビ朝日系)、東海テレビ制作の昼ドラ『新・愛の嵐』でママさんたちの注目を集め、人気が出始めたばかりの頃だった。その後、彼は多くの映画やドラマに出演し、主演を務めたドキュメンタリー・ドラマ『タイムスクープハンター』(NHK総合)は、好評を博してシーズン6まで作られたうえに映画化もされた。それこそ20代の頃はイケメン俳優として扱われていたが、2011年に地元である香川県のPR大使“うどん県副知事”に任命され、要が出演するシュールなCMが話題を集めたころから、俳優としてのふり幅が広がったように思う。

 そもそも要といえばシャープな顔つきからクールなイメージがあった。しかし、本人にインタビューしたときに感じたのは「この人、ちょっと天然?」ということ。もしかしたら要自身は変わっておらず、多くの人がそれに気づき始めただけなのかもしれないが(Twitterでの発言、ぶっ飛んだ写真の投稿を含め)、イケメンでありながら三枚目もできる今の要は、映画界、ドラマ界から重宝される存在になっていることは間違いない。

 その彼が演じる忠彦は、普段はあまり感情を表に出すことはなく、温和なタイプ。それが娘のタカ(岸井ゆきの)と吉乃(深川麻衣)のことになると一変し、彼女たちが結婚するまではお相手の男たちに攻撃的で、あからさまな嫌悪感を出していた。にも関わらず、自分の絵画に影響を与えた存在として美人画のモデルを務めた女性の名前を挙げ、妻の克子(松下奈緒)の機嫌を損ねてしまうだけでなく、そのことにも気づかない鈍感なところがあるキャラクター。いわば、つかみどころのない男で、何を考えているのかわからないという意味では芸術家気質なのかもしれない。それでいて愛らしさのあるキャラクターというのは、演じるうえではさじ加減が非常に難しい役である。

 ドラマ『海月姫』(フジテレビ系)で演じていた愛車を溺愛する運転手役もそうだったが、要は感情を大きく表情に出す“顔芸”タイプの俳優ではなく、つねにポーカーフェイスで大マジメに演じることでおかしみを生むタイプ。それが悪役になると、ポーカーフェイスが底知れない恐怖につながるのだが、『まんぷく』では弟子の名木(上川周作)とのシーンに要らしいおかしみが発揮されている。というのも、ポーカーフェイスな要に対し、名木くん役の上川は大げさな感情表現(顔芸)でナイーブな若者を演じており、その対比が笑いを誘うからだ。ドラマの本筋ではないにせよ、この二人の掛け合いを楽しみにしている人も多いのではないだろうか。

 『まんぷく』は今週で最終回を迎えるが、もしスピンオフがあるならば、本編では描かれなかった吉乃と岡(中尾明慶)、森本(毎熊克哉)との三角関係がどうなっていったのか、その過程を観たいという声が多いと聞く。そこで再び忠彦に会えるとするならば、これほどうれしいニュースはないだろう。

※記事初出時、一部に記述の誤りがありました。訂正してお詫びいたします。(2019年3月26日8時)

馬場英美

最終更新:3/26(火) 8:18
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