ここから本文です

【ボクシング】八重樫東── ボクシング人生を“逆転”した師弟の大勝負

3/25(月) 20:29配信

ベースボール・マガジン社WEB

本人だけは頑なに否定するだろうが、八重樫東(大橋)は、誰がなんと言おうが“レジェンド”である。彼を尊敬するボクサーは依然多く、普段はボクシングに興味を持たない一般の人たちにも知名度と人気は絶大だ。いまやすっかり偉大なる“チャンピオン”と化した八重樫だが、そんな存在へと突き進んだ転機となる試合があった──。現在発売中の『ボクシング・マガジン4月号』の大特集「岐点──。アップセットの構図/Turning Point」の“特別編”として、彼の足跡を辿りなおしてみよう。

【この記事の写真】八重樫東のターニングポイント

男子3階級制覇者は7人。中でも八重樫は特異な存在だ

 亀田興毅(亀田→協栄=WBAライトフライ、WBCフライ、WBAバンタム)、ホルヘ・リナレス(帝拳/ベネズエラ=WBCフェザー、WBAスーパーフェザー、WBC&WBAライト)、井岡一翔(井岡→フリー=WBC&WBAミニマム、WBAライトフライ、WBAフライ)、長谷川穂積(千里馬神戸→真正=WBCバンタム、WBCフェザー、WBCスーパーバンタム)、井上尚弥(大橋=WBCライトフライ、WBOスーパーフライ、WBAバンタム)、田中恒成(畑中=WBOミニマム、WBOライトフライ、WBOフライ)。

 これまで、日本ボクシング界は7人の世界3階級制覇達成者(男子)を生んできた。階級が細分化され、JBC(日本ボクシングコミッション)が承認する団体も、かつての2から4団体に増えた。昔のように、ジュニア(ライト)クラスがない時代の3階級制覇とは、その価値において、比べものにならないという意見もある。けれども、どのボクサーも、記録にも記憶にも残る素晴らしい実績を誇る。
 そして、その中でも特に異質の輝きを放っているのが、八重樫東(大橋)ではないかと思う。

 2月で36歳になった八重樫は、もちろんいまもなお現役。現在は国内史上初の4階級制覇を目指す立場にあるが、彼が“レジェンド”級の存在感を示し、ボクシングファンを飛び越えた人気と知名度を獲得しているのは、なにも3階級制覇を果たしたからではない。
 打たれても打たれても前に出続け、倒れても倒れても立ち上がり、戦うことを決してあきらめない。そんな姿に感動し、共鳴し、勇気づけられるからだ。

 国民性なのか。日本人は特に、昔からこういう男に心を奪われる。“浪速のジョー”辰吉丈一郎しかり、“平成のKOキング”坂本博之しかり。そして、八重樫本人はまったく不本意だろうが、彼がたとえ敗れても、人々の心は離れていかない。いや、むしろもっともっと人々の心をわしづかみにしてしまうのだ。

 だが、いまでこそスペシャルな存在となった八重樫だが、こんな姿を想像できない時代があった。日本チャンピオンとなり3度防衛したころ。最初の世界タイトルを獲得するまでの期間である。

1/4ページ

最終更新:3/25(月) 20:29
ベースボール・マガジン社WEB

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事