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小田急複々線化1年、狙い通りの成果はあったか

3/25(月) 15:00配信

東洋経済オンライン

 これに対してライバルである京王電鉄は、小田急の複々線化ダイヤ改正の同日、建設費償還のために設定していた相模原線の加算運賃を廃止し、運賃値下げを行った。京王は新宿―笹塚間以外複線のためラッシュ時は所要時間の延びが大きく、小田急の複々線化により差が一層開いてしまった。そこで運賃面での有利さを打ち出し、利用者逸走の予防線を張ったのである。これに先立ち、夜の帰宅の足として京王ライナーを新設し、さらに1年後の本年2月ダイヤ改正では朝の上りライナーを追加、準特急を充実させるなど、競合下での攻防は大いに注目を浴びる。

 もう1カ所、複々線化の効果が大きく表れている地区がある。複々線のおひざ元の世田谷代田―登戸間であり、通勤定期+4.2%、定期外+4.6%の数値を出している。複々線化時のダイヤ改正においてこの区間の最大のポイントは、線増の機能を存分に活かして、多摩線系統から消えた千代田線直通列車の本数を上回る数で千代田線直通列車が設定されたこと。もともと千代田線直通の需要は世田谷・狛江エリアで発生するボリュームが大きいというデータに基づき、日中以後、成城学園前や向ヶ丘遊園発着の準急という新たな形で設定された。

 また、準急は緩行線運転とされたことで、新たに千歳船橋・祖師ヶ谷大蔵・狛江を停車駅に加えている。朝晩には各駅停車の千代田線直通列車も初めて設定された。これにより千代田線直通列車が大幅増、世田谷・狛江地区の3駅はさらに準急停車で列車頻度が大幅にアップした。定期外の伸びは、日中の準急の貢献が大きいとみられている。

 なお、朝の上りは通勤準急(千歳船橋・祖師ヶ谷大蔵・狛江は通過)と各停、夕夜間の下りは準急と各停のほか急行も千代田線直通に加わっている。

■町田界隈がいま一つ

 利用が伸びて複々線効果が表れたとみられる上記の各エリアに対して、向ヶ丘遊園―町田間の中距離エリアは通勤定期+2.3%、定期外+0.7%、相模大野以西の小田原線は同+1.0%、+0.6%と伸び幅が小さい。

 これらの区間は、幹でありながら複線のままなので、線路容量は増えていない。また、幹ゆえに元から充実した輸送が行われており、江ノ島線や多摩線のように都心直通列車が大きく変化したわけでもない。容量いっぱいの列車が走っているため、相模大野や町田始発の着席可能な列車を挟み込む余地もない。したがって列車体系の変化があまり大きくなければ、当然ながら利用にも変化が少ない、ということだろうか。

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最終更新:3/25(月) 15:00
東洋経済オンライン

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