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「獲るつもりのなかった選手」杉谷拳士が栗山監督に言わせたいひと言

3/26(火) 6:11配信

webスポルティーバ

 レフト、センター、セカンド、ファースト、ライト。

 オープン戦が始まって、杉谷拳士が守ったポジションだ。代打あり、代走あり、守備固めあり、もちろんスタメンでも出場している。去年はサードも守っているし、ショートだってできないはずはない。プロ入り後、一軍では1試合しか経験はないが、春夏合わせて3度も甲子園に出場した帝京高校では、3年生の時にキャプテンを務め、背番号6をつけてショートを守っていたのだから──。

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 ユーティリティ。

 足が速く、バントもできるし、バッティングも悪くない。どこでも守れて、元気もある。こういう選手がベンチにいてくれたら、監督としては楽だろう。しかし、栗山英樹監督はこう言っていた。

「ケンシ(杉谷拳士)にはいつも言ってるんだよ、『お前はこんなもんじゃないだろ』って。だからもちろん、レギュラーポジションを獲ってほしいと思ってるよ。監督になった時、ハルキ(西川遥輝)、タク(中島卓也)、コンちゃん(近藤健介)、ケンシの4人はこのチームの中心になるべき選手たちだと考えていたし、だからケンシにはユーティリティだからベンチにいて欲しいなんて、そんなふうには思ってない。アイツが3割打てるなら、いくらでもポジションはあるんだからさ」

 プロで10年、一軍で501試合に出場し、通算で206安打、ホームランは8本。今や押しも押されもせぬレギュラーとなった西川、中島、近藤に、杉谷は大きく水をあけられた。杉谷は言う。

「プロで10年、自分では『こんなもんじゃないよ』という感覚のほうが近いかもしれません。今、ウチにいるメンバーの誰よりも一軍へのデビューは早かったし、もっとやれるという気持ちはありました。でも、二軍のピッチャーを打てても一軍のピッチャーとなるとなかなか打てないという壁にぶつかって、もどかしい思いをずっと抱えてきました。今じゃ、僕だけが監督の期待を裏切っているので、もちろん、このままじゃ終わらないぞと思っています」

 ファイターズは予算内で効果的な編成をするために、2004年にBOS(ベースボール・オペレーション・システム)を導入し、選手の数値化を図った。チームの選手、他球団の選手、アマチュアの選手を複雑な独自の公式で数値化し、順位づけの指標としてきたのだ。ドラフトの候補に挙がったアマチュアの選手がすぐにファームの試合に出られるかどうかをチェックし、そのレベルに達したと判断すれば指名する。杉谷は2008年のドラフト6位で指名されてファイターズに入団したのだが、じつは彼の指名はテストケースだったと、大渕隆スカウト部長が明かす。

「現場レベルでは、彼は体力、技術面でプロのレベルには到達していない、という判断でした。しかも、これからの伸びしろも見出せなかった。でも、杉谷は性格面が図抜けていたんです。元気があって、やる気があって、必死で、やたらと声がでかい(笑)。精神面はプロなんです。こういう選手がどこまで通用するのかという点で、彼は、僕たちにまた新たな見方、違った視点を必要とされるのかどうかの試金石になっていました」

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