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Twitterが話題騒然のベテラン裁判官が語る、劣化しきった裁判所の教育事情とは

3/26(火) 6:00配信

週プレNEWS

──裁判官が目立った動きを見せると、出る杭(くい)を打つように当局が働きかけていたと?

岡口 そうです。ただ、これは単に当局批判をすれば収まるという話ではありません。裁判所当局がそうせざるをえないのには、実は別の事情があります。当局は当局で、国の政治部門からの批判や介入を恐れているんです。

裁判所というのは、権力の裏付けがないため、ものすごく弱い立場にあるんですよ。なので、政治部門からつけこまれる前に、当局が裁判官たちを統制してしまおうということなんです。

──裁判官の統制といえば、岡口さんのツイートをめぐる最高裁や裁判官訴追委員会による過剰なまでの追及にも共通するのではないでしょうか。

岡口 私の一件も、政治部門からの司法への介入の延長線上にあります。これまでも裁判官訴追委員会というのは、国の政治部門が司法に介入するためのひとつの場として使われてきました。

それがわかっている最高裁は組織防衛をせざるをえないんです。政治部門の人たちは訴追権限だって持っているし、最高裁長官を指名する権限まで利用してきますからね。

──法曹界を中心に、岡口さんの立場を擁護する声は多く上がっています。やはりツイートの件だけで国会聴取というのは、相当の力ずくなんですね。

岡口 これまでに訴追された裁判官は、刑事事件で有罪とされた方々ですからね。スマホで盗撮などの犯罪行為は弾劾に値しますが、私の場合はなんら違法な行為ではありません。それなのに、軽々に国会に呼び出して聴取をしたりすると、これは司法権の独立の問題が関わってくることになります。

裁判官訴追委員会の方々が、三権分立や司法権の独立などについてきちんと理解されているとは思えません。彼らには、裁判所をとっちめようなどといった確信的な意図があるわけではなく、権力者であれば当然に理解しておかなければならない基本的な部分が理解できていないのです。

ネット上でも、今回の呼び出しが「異常である」という声が上がっています。国民のほうがよっぽどよくわかっているのではないかと思いますね。

●岡口基一(おかぐち・きいち)1966年生まれ、大分県出身。東京大学法学部を卒業後、東京地方裁判所知的財産権部特例判事補、福岡地方裁判所行橋支部判事を経て、現在、東京高等裁判所判事。 著書に『要件事実入門』『民事訴訟マニュアル―書式のポイントと実務 第2版(上下)』『要件事実問題集[第4版]』『要件事実マニュアル 第5版 全5巻』『裁判官! 当職そこが知りたかったのです。―民事訴訟がはかどる本』(共著)、『要件事実入門(初級者編) 第2版』などがある

■『裁判官は劣化しているのか』(羽鳥書店 1800円+税)"白ブリーフ裁判官"や"ツイッター裁判官"としても知られる現役裁判官の著者が、劣化しきった裁判所の内部事情を明かす。そこには、従来の裁判官育成システムや、先輩と後輩のコミュニケーションの場がなくなったことによる多くの劣化要因があった。そして本書には、著者が裁判官になるまでをつづった若き日の回顧録も収録。これから法曹を志す人はもちろん、一般の読者まで幅広い層が楽しめる一冊となっている


撮影/五十嵐和博

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最終更新:3/26(火) 6:00
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