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敵を作ってしまったら?職場で上手に本音を言うテクニック

3/27(水) 7:06配信

@DIME

本音を聞き出したい上司。本音を言えず、ストレスをためる部下。こうした構図はよくあるものだ。部下として、自分の本音はどのように出していくべきか。

コーチング、部下育成、コミュニケーションなどの講演や企業内研修を多数行う内海賢さんに、職場で本音をうまく言うスキル、そして本音を言っても嫌われない方法などを教えてもらった。

職場で本音を上手に言うための5つの視点

社内で下の立場だと、職場ではなかなか本音を言えないもの。本音を言うにはどうすればいいか。

「職場において、私たちはなぜ、本音を言うことをためらうのでしょうか。例えば、本音を言うと『嫌なやつだな』と嫌われてしまうのではないか?『何をわけのわからないこと言ってるんだ』と怒られてしまうのではないか?『何を見当違いなことを言ってるんだ』と馬鹿にされるのではないか?『本音を言っても自分の考えや気持ちは理解してもらえないだろう』といった不安やあきらめなどは多いものです。もちろん、誰と何を話しているのか、どんな場面なのかによってもその理由は異なりますが、本音が言えない背景には『ある種の感情が潜んでいる』ことを理解しておくことも本音を言うための対策の一つといえます」

そこで内海さんは、具体的な本音を言うための5つの視点を挙げる。

【本音を言うための5つの視点】
1.クッション言葉を使う
「クッション言葉を使う方法です。クッション言葉とは、自分の本音である気持ち、感情、考えなどを伝える前に、例えば『こんなときに、こんな話しをするのはどうかと思いますが…』と、話を切り出しにくいときに見え隠れする自分の気持ちを枕詞にして、そのまま言葉にするアプローチです」


「こんなことを言えばお叱りになるかもしれませんが…」
「こんな場面でお話しするのは筋違いかもしれませんが…」
「とても申し上げにくいことなのですが、大事なことなのでお話しすると…」

など、相手や場面に応じて柔軟に言葉遣い考え、伝えていくことが重要です。

2.話し合うときのルールを提案する
「上司や先輩、あるいは会議やミーティングを行う際の工夫として、ルールを決めて話をする方法です。これはファシリテーションというコミュニケーション分野で言われていることでもあります。例えば会議やミーティングにおいてのルールの例として、

・安易に「発言者=実行者」にしない
・相手を否定しない
・話を途中でさえぎらず、意見は最後まで聞き切る

などの話し合いのルールを決め、お互いの同意を形成しながら話し合いを進めるというものです。もちろん、ルールを決めたからといって必ず守られるという保証はありませんし、日頃からの関係性がものを言う可能性もありますので、ルール以前に何でも言い合える関係の構築にも意識を向けたいところです」

3.自分の内側に潜んでいる感情に意識を向ける
「本音が言えるようになるための大事な一歩として、自分の内側でわき起こっている感情に気づき、しっかりと向き合うことです。つまり、本音を言うためには自分自身への客観性や冷静さが必要になるのです。小手先のテクニックに走り過ぎてしまうと、そのときはクリアできても持続性がなくなり、相手や場面が変わるとまた本音が言えないということになりかねません。不安、恐れ、あきらめ、自信のなさ、劣等感など、本音が言えないときの根っこにある感情を自覚することが大事です。自分の感情に気づくことや向き合うことができれば、『どうすれば良いか?』次の対応が見つかったり、昔からの単なる習慣で、今の自分にとって大きな問題ではなかったと気付いたりすることもあります」

4.「肯定的な自己イメージ」を毎日コツコツと描く
「本音が言えないことの背景には、自分に対するイメージが根強い場合もあります。自己イメージは自分の感情の方向性に無意識に影響しますので、例えば『私は誰にでも本音を言えるような芯の強さはないし、気が弱い人間だから…』といった否定的な自己イメージがあれば、それがさまざまな仕事の場面で、不安や恐れ、劣等感などの感情を引き出し『意見があっても飲み込んでしまう状況』つまり、本音が言えない状況を無意識に引き起こしてしまいます。

よって、例えば『相手を怒らせるようなことになったとしても、自分の芯を貫き通す』といったある種の覚悟と肯定的な自己イメージを描くことが必要です。朝目覚めて起きるまでの時間やシャワーを浴びながら、ぼーっとしている時間に、例えば『私は本音を言いながらも、周りと良好な関係を築いている人間だ』といったアファーメーション(肯定的な断言)を習慣化させ、毎日コツコツと肯定的な自己イメージを描き続けることが根本的な対策につながります」

5.「自己肯定感」を高める働きかけを習慣化する
「肯定的な自己イメージを確立するためには『自己肯定感』が鍵を握ります。自己肯定感とは、自分の能力や可能性を積極的に評価したり、自らの価値や存在意義を肯定できる感情で、肯定的な自己イメージをつくるためには不可欠な感覚といえます。この自己肯定感を高めるための方法にはさまざまなものがありますが、ここで大事なことは『自分を卑下しない』ことや『日頃から良いエネルギーをためておく』ことといえます。

●自己肯定感を高めるための7つのこと

(1)自分自身を振り返る時間を持つ
「立ち止まって、自分や出来事の肯定的な面を見つける意識づくりをしましょう」

(2)さまざまな出来事を通じて感謝の気持ちを醸成する
「肯定的な感情を意識して育てるために、何事に対しても感謝の気持ちを持ちます」

(3)健康な身体づくりと健康維持
「健康な身体に、健全な精神は宿ります。健康管理、規則正しい生活習慣など改めて意識しましょう」

(4)自分自身を大事にする
「先にも述べた通り、自分の良い面にしっかりと意識を向け、自己肯定感をじっくり育てましょう」

(5)夢・目標を意識する
「大きな目的があるからこそ、あえて本音を言わなければならない勇気も生まれます」

(6)大切な人たちと過ごす時間をつくる
「居心地の良い時間をもち、気持ちを安定させましょう」

(7)自分にも職場の人たちにも元気な声で挨拶する
「朝、鏡に向かって元気に『おはよう!』出社したら職場の仲間に『おはよう!』仕事で感謝する場面があれば『ありがとう!』と元気な声を出し、気持ちをあげましょう」

本音を言うことのメリットとデメリット

ここまでは、本音をいかに言うか、というところがテーマだったが、そもそも本音を言うことにはメリットもデメリットもあると、内海さんは言う。

「本音を言うためには、そのメリット・デメリットにも気付いておく必要があります。それがわかれば、躊躇している場合ではない、と即決できることもあるからです」

【メリット】
1.仕事のスピードが速くなり、目標達成・問題解決が早くなる
「本音を伝えることは建設的な話し合いのみならず、意見のぶつかり合いが起きることも十分に予期できますが、そのぶつかり合いも含めてオープンで、ストレートなコミュニケーションが短時間での本質的な話し合いにつながり、結果、組織全体の目標達成や問題解決への近道になります。仕事のスピードが速くなり、目標達成・問題解決が早くなれば、仕事も面白くなるでしょう。

一方で本音を言わない、遠回しの物言いは、本質的な話し合いになかなか至らず、時間もかかり、結果的に組織の目標達成や問題解決を遅らせる原因にもなりかねません」

2.職場の一員としての関係が築きやすくなる
「40代・50代の上司や先輩たちが若手・中堅のメンバーに対して抱きやすいストレスの一つに、「本音(本当のところ)が見えない」、「はっきり意見を言わないので何を考えているのかよくわからない」「考えはあるんだろうが、すすんで言ってくれないのでどうしたいのかが見えてこない」というものがあります。本音を伝える、しかも明確に発言してくれるということは、上司や先輩にとっては「何を考えているのかがわかりやすい存在」として映り、組織の中での関係を築きやすい人としての認識が深まるだけでなく、心強い味方として受けとめてくれる可能性が高まります」

3.責任ある仕事やポジションにつける可能性が高まる
「企業研修の中で上司の立場にある人たち対して、『同じくらい優秀なメンバーがいます。ただし、一人は本音をあまり語らない、もう一人はぶつかり合ったとしても本音を言ってくれる。そのどちらか一人を抜擢しなければならないとき、あなたはそのどちらを選びますか?』と質問するとどんな答えが返ってくるでしょうか。

もちろん意見は分かれるものの、多くの場合が後者を挙げる方が多いのもまだまだ現実です。つまり、このような上司や先輩側の心情も理解しながら周りとのコミュニケーションを考えることも責任ある仕事を任せてもらいたいと思っている人にとっては欠かせない視点です。『本音も含めて何でも話せる人=重要な仕事を任せられる人』という心理がまだまだ根強いといえるでしょう」

【デメリット】
1.人間関係が上手くいかない
「本音を伝えてくれないと周りは『あの人は結局、何を考えているんだろう?』『あの人の考えや気持ちが見えないなぁ』といった状況に陥りやすく、職場の中で一緒に仕事を進めていく仲間としての親近感すらわきにくくなります。親近感がわかないと、その人への興味・関心も薄らいでしまい理解も深まらないので、周りから見ると『ただ同じ職場にいる人』といった意識につながり、仕事の中でのコミュニケーションすら希薄になってしまう可能性が高くなります。

本音で語り合った分だけ、お互いの理解が深まり、仲が深まるのは言うまでもありません。たとえ仕事上で口論になったとしても、それ以上に関係が悪くなることも避けられるでしょうし、本音を伝えてくれる人には『信頼感』が集まりやすくなります」

2.やりたいことができない
「本音を伝えることは周りに敵をつくり、嫌われてしまうリスクが大きくなります。しかし、そのリスクを恐れるがために本音でぶつかれない人は、周りに耳障りの良いことしか言わなくなるため、本当の意味で信頼を得ることがむずかしくなります。周りから信頼を得ている人には、敵も多いが、それ以上に味方も多いという人が意外に多いといえます。

自分が本当にやりたいことをやるには、本音でぶつかったからこそ得られる味方の存在が欠かせません。いざというときに支えてくれる力強い存在がいれば、乗り越えられる状況が多くなります。そのためにも『本音でぶつかって失うものは、本当にやりたいことをやって得られる価値に比べたら小さなことだ!』くらいの気概が必要といえるでしょう」

3.大切な人ができない
「大切な存在といえる人をつくるためには、時間をかけてお互いのことを理解していく必要があります。互いの魅力的な面だけでなく悪い面をも知り、理解し合うことで仲が深まっていくわけです。そのためにも本音で語り合うことがなくてはなりません。一時的に表面を取り繕って印象を良くできたとしても、関わり続ければ取り繕っていたことはどこかで必ずバレてしまいます。

しかも、本音を伝えないということは、結果的に言いたいことややりたいことを我慢することにつながります。そんなストレスを抱えながら大切な人と思える人を大切にできるか?と問われるとその答えも自ずと見えてきますよね」

本音を言って敵を作ってしまったらとどうする?

実際、本音を言おうとしたときに、本音を言うことで、敵を作ってしまうのではないか、と不安になることもあるかもしれない。もし本当に敵を作ってしまったら、どうすればいいだろうか?

「ここでいう『敵』が誰なのか、つまり社内の人なのか、社外の人なのかなどによっても、どんな状況に至ってしまっているのかによっても、その対応が変わることは言うまでもありません。また実際には敵を作ってしまっていることに気づいていない場合もありますので、本音を伝える・伝えないに関わらず、自分が周りにどんな影響を及ぼしているのかに意識を向けておく必要があります。もし敵を作ってしまった場合、大きく3つの視点から考える必要があります」

1.仕事に実害がある場合は、しっかり向き合い、対応する
「仕事上の関係では必ず利害を考える必要があります。利害を考えたとき、周りも含めて実害が大きい場合は、どれだけ苦しくともその敵や状況と向き合い対応する必要があることは言うまでもありません。誠意ある謝罪をする、丁寧な説明を重ねて誤解を解くなど、状況に応じた誠実な対応が大切です」

2.仕事上実害がない場合
(1)大局的に考えて推移を見守る
「仕事上の実害がない、もしくは少ない場合は、大局的な視点から『敵をつくっている状況』を考えることも大切です。仕事で自分がこれから進みたい方向を考えたとき『目の前の状況はしっかり向き合い、対処すべきことなのか?』『やむ得ないことなので、こちらからの積極的な働きかけがなくても大丈夫ではないか?』など、仕事に実害がなく、状況によっては気にしないで済むことであるなら、しばらく様子を見守りながら目の前の本来やるべきことに集中することも必要です」

(2)「時間が解決」あえて何もしない
「(1)と同様に、状況によっては、どんなに働きかけても逆効果になることもあります。その場合、解決するには時間が必要と割り切り、あえて何もせず目の前の本来やるべきことに集中することが大事になります。

敵を作ること自体は悪いことではありません。本音を伝えることにより、当然、そこには共感や反発など、感情的な要素が絡んでくることは仕方ありません。また互いに誤解や勘違い、未熟さなどさまざまな要素も関わっている上でのことです。時間が経過し、互いの成長があって、はじめて解決できることもあります。つまり静観する姿勢も大切だということです」

本音を言いたいけれど言えない、と悩んでいるなら、今回紹介されたことを参考に、メリットやデメリットなどさまざまな角度から考えて取り組もう。

【取材協力】
内海 賢(うちうみ まさる)さん
株式会社コーポレート・エデュケーション代表取締役
ことのはラボ パートナー
iWAMプロフェッショナルズ 営業本部長
(株)日本能率協会マネジメントセンター パートナーコンサルタント
ことのはトレーナー養成講座
https://kh-labo.com/training/

取材・文/石原亜香利

@DIME

最終更新:3/27(水) 7:06
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