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韓国代表、ハメスも称えた強さ。コロンビア撃破は「ポジティブの極み」。払拭したアジア杯の失望

3/28(木) 11:05配信

フットボールチャンネル

 韓国代表は26日、コロンビア代表との国際親善試合に2-1で勝利を収めた。これでAFCアジアカップ後は南米勢に2連勝。日本代表に勝利した強豪すらも破り、アジアの舞台で味わった失望を拭い去りつつある。(取材・文:キム・ドンヒョン【韓国】)

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●とことん相性の悪い監督を前に

 FIFAランキング12位の強国。ワールドカップの常連国。ハメス・ロドリゲスやラダメル・ファルカオ。

 コロンビアのサッカーについて思い浮かぶいくつかの単語を並べてみた。一言でいえばこの国、やはり敵に回すと怖い。

 いかに恐るべき相手なのかを説明する必要はないだろう。22日に行われた日本代表との試合がPKで決勝ゴールを挙げたことによる勝利だったとはいえ、韓国代表が主力メンバー同士の対決で完封したのは見事だった。

 日本戦が入国して間もないうちに繰り広げられた試合であったならば、26日の韓国戦は彼らも本調子になるはずだった。日本と韓国の時差なく、フライト移動も2時間弱と相当短い。コロンビア代表としては最適なスパーリングパートナーだったのかもしれない。

 実際コロンビア代表は入国当日にホテルに着くと、そのまま休息をとった。24日に予定していた練習もキャンセルした。選手たちはソウル中心部で買い物に行ったり、観光に行ったりするなどリラックスした様子。試合前日の25日にようやく始動するも、簡単なウォームアップのみで1時間も経たないうちに練習を切り上げた。これは余裕なのか、それとも真の休息だったのか。

 後者に近いのだろう。コロンビア代表は結果を求めていた。それこそ南米のワールドカップと呼ばれるコパ・アメリカの開幕が目の前に迫っている。カルロス・ケイロス新監督の指揮下、2001年以来の王座奪還にチャレンジする立場。大会に至るまでの親善試合の結果も大事になってくるのは当然だ。

 イラン代表を率いてアジアを席巻したケイロス監督も、南米の舞台は初めて。手腕を証明しなければならない。だからこそ彼自身の初陣にして、慣れ親しんだこのアジアの舞台で開催される2試合を連勝で飾り、ファンやメディアからの信頼を得たかったはずだ。日本代表には勝っているから、韓国戦さえ乗り越えればミッションは達成できる。

 実は韓国にとってケイロスは“鬼”そのものだった。彼が指揮を執ったイラン代表に過去8年間でなんと1分4敗と大きく負け越している。しかも無得点だった。勝った後のケイロスの言動もまた、韓国ファンには気の毒なコメントばかり。チームがコロンビアに変わったといえども、印象がいいわけがない。

●蓋を開けてみたら…韓国、恐るべし

 一方の韓国代表はなぜか強気だった。コロンビアのFIFAランキングなど全く気にしていないようで、パウロ・ベント監督も前日の記者会見で「ハメス・ロドリゲス、ファルカオなどいい選手が多いのは知っている。だが、負けてもこれは理由にならない。対応できる方法を探して、いい試合したい。自信を持っている」とコメント。同じポルトガル出身の大先輩に容赦ないパフォーマンスを確約した。

 韓国代表はコロンビア戦でベストメンバーを全員投入する。ソン・フンミンとファン・ウィジョが2トップを組み、司令塔には北米MLSでプレーするファン・インボム。両サイドアタッカーはイ・ジェソンやイ・チョンヨンに任せた。守備はガンバ大阪のキム・ヨングォンが主軸。期待を集めた有望株、イ・ガンインやペク・スンホはベンチスタートとなった。

 一方のコロンビア代表はファルカオやハメス・ロドリゲスを先発から外した。それでもDFにジェリー・ミナやダビンソン・サンチェスなど大型センターバックを同時起用し、本気度を見せる。

 だが、蓋を開けてみると韓国代表がコロンビア代表を圧倒した。ソン・フンミンやファン・ウィジョが前線をかき回し、空いたスペースをイ・ジェソンが有効活用。そしてそこにファン・インボムが絶妙なパスを配給する場面が続く。

 そして16分、ソン・フンミンが先制ゴールを奪う。ファン・ウィジョがファン・インボムからもらったボールをキープすると、ソン・フンミンが前線へ抜ける。そのタイミングに合わせ、ファン・ウィジョが巧みなパスを入れると、これをソン・フンミンが巧みにコントロールし、ペナルティエリア内に勝負をかける。ドリブルを魅せると、右足の強烈なシュートでゴールを割った。GKが手を出したが、シュートのスピードが速すぎた。

 これがなんと、ソン・フンミンにとって韓国代表で9ヶ月ぶりに味わう得点だった。昨年のロシアワールドカップ・ドイツ戦以来のゴールだ。韓国一の人気者の鮮やかなゴールに、満員になったソウルワールドカップスタジアムが崩壊するかのような振動が轟いた。

 試合の内容全般も韓国代表がリードする。中盤でのパスワークはもちろん、守備での堅実さも抜群。そして守備から攻撃に切り替わるスピードがコロンビア代表をはるかに上回った。

 そしてソン・フンミンがまたも大活躍。スピードを生かし、裏に抜け出すプレーを何度も披露。そしてファン・ウィジョも大型センターバック2人の間で奮闘した。コンタクトを惜しまないプレーを続ける。D・サンチェスがいなかったら…と韓国の記者席で思わぬ本音も漏れた。

 49分に韓国代表は同点ゴールを許すも、その10分後にやり返した。ボールを持ったイ・ジェソンが右サイドでドリブルを仕掛ける。ゴール正面で放ったシュートはGKに弾かれたものの、ゴールに吸い込まれ、再び勝ち越しに成功した。

●ハメスも称賛。韓国は大きく前に進む

 韓国代表はこのゴールを守りぬいた。直前のボリビア戦同様、ベント監督は結果も求めていたからだ。彼は終盤に5バックを選択し、一気にDFの数を増やして守備的なフォーメーションへと切り替えた。

 ただ、結果が欲しいのはコロンビア代表もお互い様だ。ファルカオ、ハメス・ロドリゲス、ブラジルリーグで活躍しているジミー・チャラなどを続々投入してくる。ゴールへの熱望をあらわにし、積極的に韓国のゴールを狙った。だが韓国の守護神チョ・ヒョヌがスーパーセーブを連発し、ゴールを許さない。結局韓国が2-1の大金星をあげた。内容、結果ともコロンビアを圧倒していた。

 ベント監督も満足げだった。「お互い熾烈かついい試合をした。戦術の変化が相次いだ中、選手たちがよくプレーしてくれた。課題や宿題はどの試合でもある。だが、今日の結果はフェアではないかと思っている」とチームのパフォーマンスを高く評価した。

 ハメス・ロドリゲスも「韓国はいいチームで、戦術的によく準備されていた。今日の試合で勝つ資格を持っていたと思っている」と評価。印象に残る選手については「GKがすごくよかった」とチョ・ヒョヌを称えた。

 結果は最高。だが、あるくだらないことが一部のファンで批判されることもあった。イ・ガンインやペク・スンホなどの韓国代表デビューが見送られたのだ。彼らはウォームアップすらせず、ベンチにずっと座っていた。

 だが、これに対してソン・フンミンが素晴らしい言葉を残した。「若い選手のデビューももちろん重要だが、もっと大切なのはこのチームにいる全員。彼らの成長を焦らないで待つ必要がある。黙々と待っていれば、彼らはいつの間にか成長しているはず」と成熟した姿勢を見せた。

 こういうことすら話題になるのが、最近韓国でサッカー人気を取り戻しつつある証拠といえば証拠。この2連勝で、アジアカップでの失敗がまるでなかったかのようになったのは、韓国サッカー界にはポジティブの極みだ。

 もちろんベント監督の実験は続く。彼の言う通り課題もたくさん残っているが、韓国は自分たちのアイデンティティを確立しつつある。

(取材・文:キム・ドンヒョン【韓国】)

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最終更新:3/28(木) 12:03
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