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一橋大名誉教授が語る、児童相談所が「いらない」理由と裏にある「児相利権」

3/28(木) 11:00配信

週刊女性PRIME

 児童相談所のおかれている現状に理解を示す声は大きい。いわく、人手不足、権限がない、予算が足りない。ないないづくしだから機能しないのは当たり前だという。本来は子どもの立場で考えるべきであって──。《取材・文/山嵜信明》

【写真】20年前と現在の児童虐待の施設数や職員数を比較した表、水岡不二雄名誉教授

「いま、児童相談所(以下、児相)のあり方に対する論議が巻き起こっています」

 と一橋大学の水岡不二雄名誉教授(68=経済地理学)は切り出す。

 きっかけは今年1月、千葉県野田市の小学校4年生・栗原心愛(みあ)ちゃん(10)が父親から暴行を受けて虐待死した事件だった。心愛ちゃんをいったんは児相が預かり、両親のいる自宅に帰せば虐待の危険性が高いと認識していたにもかかわらず、自宅に戻すという不手際があったからだ。

 児相は、児童福祉法に基づき、都道府県や政令指定都市など全国69自治体で計212か所に置かれている。虐待だけではなく、障害や不登校、非行などの相談に乗る施設である。

「こういった虐待事件が起きるたび、“児相は1人の職員が数十人もの問題があるケースを抱えていて大変だ”とクローズアップされ、児相側も、人手が足りないとか、予算が足りないといった言い訳をする。マスコミもその論調に乗っかって、児相の人員を増やせ、予算を増やせとなるのが常でね。マスコミは、官庁の意にそぐわないことは言わないだらしない権力追随型。報道の自由度で世界67位の国たるゆえんです」(同教授)

 児童虐待の相談件数は年々増加しており、児相は施設数も職員数も、そして予算も増え続けている。関連項目のデータを約20年前と比べると、その拡大ぶりがよくわかる=※下の表を参照。

  ところが、水岡教授は、

「そもそも児相はいらない。不要だと思うんです」

 と、世論とは異なる持論をぶち上げる。いったい、どういう理由からなのか。

児相が「いらない」理由

 まず、第一に、児相の職員がプロフェッショナルではないことを挙げる。

「児相の職員は県の職員で、以前は土木関連に携わっていたような職員が、たらい回し的に就いている。児相の職員で最も多いのが児童福祉司ですが、わずかな期間、研修を受けただけでその職に就く。なんら特別なトレーニングもなしにね。つまり、その道の専門家とは言いがたい」(水岡教授)

 児童福祉司は、経験年数が3年に満たない人がおよそ45パーセントを占めているといわれている。要するに経験不足で、プロと呼べるシロモノではないというのだ。

 第二に、日本は25年前、国連の子どもの権利条約を批准していると同教授は指摘する。児相はその国連の子どもの権利委員会から2010年と、今年の2回にわたって厳しい勧告を受けているが、改善しようとしていないと教授は話す。

「厚労省は児童虐待防止法(以下、児虐法)を何度も改正して児相の力を強化してきました。国連はそれを4回も実地調査して、多くの子どもたちが家族から引き離され、親の同意もなく家庭裁判所の許可がなくても最大2か月間も収容されていることを問題視しています。明確な保護基準を設定し、司法検査を導入することも必要。そうした仕組みは虐待の抑止にもなるんですが、まったくそうしようとしていないのが実態です」(同)

 児相そのものが、子どもの人権蹂躙(じゅうりん)をしていると教授は明言する。

「児相はいわば“子ども収容所”。そこでは暴言、暴力、虐待、わいせつな行為などが横行していて、家庭で虐待を受けていた子どもたちが被害に遭っているんです。乱暴に言えば、児相職員が子どもたちを拉致して強引に入所させている。国連は、児相で人権侵害があり、一時保護を閉鎖しろとも言っているんですけどね」(同)

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最終更新:3/28(木) 11:00
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