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中国の工場が爆発事故を繰り返す根深い理由

3/28(木) 6:15配信

JBpress

 (福島 香織:ジャーナリスト)

 中国江蘇省で3月21日に化学工場で大爆発がおきた。死者は25日の段階で78人、35人が重態の危険な状態で、60人以上が重傷者だ。2015年に天津で大爆発が起きて、公表されているだけで165人が死亡したが、それに次ぐ大爆発事故となった。

【写真】大爆発を起こした中国江蘇省の化学工場付近。焼却炉が激しく変形している。

 実は中国では、2桁、3桁の死者が出る「生産安全事故」(生産現場の安全に関わる事故)は決して少なくない。なぜ大量の死者を出す事故がなくならないのか?  というのは中国の古くて新しいテーマである。

■ 突如火の玉が盛り上がり、爆風が周囲を直撃

 新華社、北京青年報、新京報、澎湃新聞などの報道およびSNSに上がっている情報をもとに、事故の概要を簡単にまとめてみよう。

 江蘇省鹽城市响水県の陳家港生態化工園区にある江蘇天嘉宜化工有限公司の農薬製造工場で、3月21日午後2時50分ごろ、大爆発が起きた。爆発の直接的な原因は倉庫内の危険廃棄物の中のベンゼン系燃焼物によるものと見られている。新華社報道によれば3月25日の段階で死者は78人、負傷者は617人で、うち35人が意識不明の重体という。

 SNSにスマートフォンで撮影された爆発の様子が上がっている。そこには突如火の玉が盛り上がり、大爆音とともに爆風が周辺を吹き飛ばす様子が映っていた。被害は周辺十数キロにおよび、近くの住宅地のマンションや学校も爆風で損壊、子供たちや女性を含む一般住人が血まみれになってあちこちに倒れている爆発直後の映像もSNSにあふれていた。周辺で観測された揺れは震度2.2という。化学物質の異臭は40キロ離れた地点でも漂っていたそうである。国務院は「特別重大事故」として現地に調査チームを派遣し、習近平も外遊先のイタリアから迅速な救援と原因究明、責任者の厳重処罰などを指示した。

■ 以前から事故多発地域だった

 現地の住人の話では、この事故は起こるべくして起きたといわれている。この化学工場がある工園区では、これまでも爆発事故や化学物質漏れの事故が続いていた。その中には上場企業も少なくないという。

 2000年以降、江蘇省のこの地域には大量の化学工場が移転されており、江蘇北部沿海区の環境汚染問題の最大の理由にもなっていた。2019年の現在にいたるまで、江蘇省が中国最大の農業化学産品工場の集積地域でもある。

 そして以前から事故多発地域でもあった。2007年11月27日は江蘇聯化科技有限公司で爆発事故が起き、8人死亡した。このとき、地元県政府は、賄賂のばらまき、あるいは性接待によってメディア取材を封じ込めたので、ほとんど報道されなかったという。「本当の死者数は100人を超えていた」「トラックで遺体の山を運んでいた」という“噂”だけが広がっていた。

 2010年11月23日には江蘇大和塩素アルカリ化工公司の塩素漏れ事故で30人以上が中毒になった。2011年2月10日には、化学工場が爆発したというデマが流れて1万人以上の周辺住民がパニックとなって夜逃げする事件があった。このとき交通事故で4人が死亡しているという。このパニックは、2007年の爆発事故の時に当局が情報隠蔽したことで、住民が疑心暗鬼に陥っていたことが原因だといわれている。さらに2011年5月18日には南方化学工場で大火災があり、7月26日にも再び爆発と火災が発生した。

■ 社長は環境汚染の罪で何度も摘発を受けていた

 今回、爆発事故を起こした天嘉宜化工(以下「天嘉宜」)は2007年4月に設立。もともとは江蘇省江陰市にあったが、2009年に太湖の水質汚染事件を引き起こし、この陳家港に移転してきた。この工場地帯は、問題を起こした企業が吹きだまる場所でもあった。

 天嘉宜の代表取締役はかつて環境汚染罪で何度も摘発を受けた張勤岳。6回の行政処罰記録があり、その中には個体廃棄物管理制度違反、大気汚染防止管理制度違反などが含まれている。

 2012年に天嘉宜は化学廃棄物100トン以上を誤った方法で処理して重大な環境汚染を引き起こし、100万元の罰金支払いを命じられている。また、2017年9月にも公共安全管理に関わる規定違反で処罰を受けた。

 2018年2月に地元国家安全生産管理当局が名指しで安全問題があると指摘した企業の中に、ここも含まれていた。このとき指摘された天嘉宜の安全問題の中には、特殊作業員が必要な審査に合格していないこと、生産装置操作規定の基準が満たされていないこと、機械および監視コントロール室の設置について規定違反があったこと、現場管理がずさんで、現場に必要な安全警告表示が不足し、発火を伴う作業管理にルールが設けられていないことなどが挙げられている。

 2017年から2018年まで、天嘉宜は幾度となく市および県の環境保護当局から行政処罰を受け、その罰金総額は101万元となっていた。2018年4月には、この化学工場園区内で水質汚染問題が発生し、天嘉宜を含む園区内の化学工場複数が環境保護当局から操業停止命令を受けている。その後、8月に問題が改善されたとして操業が再開していた。

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最終更新:3/28(木) 6:15
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