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ティム・バートンがずっと描き続けるモチーフとは?初期から『ダンボ』まで、キャリア&作風変遷を辿る

3/30(土) 10:10配信

otoCoto

バートンらしさを残しながらも、よりメジャー&ポップな作風へ

そしてバートンの凄さは、『ビッグ・フィッシュ』をひとつの区切りとして、よりメジャーなビジュアリストという新たな方向へと舵を切ったこと。『チャーリーとチョコレート工場』(05年)や『アリス・イン・ワンダーランド』は、バートン的ないびつなファンタジーという側面は残しつつも、よりポップで、大衆に受け入れられるファミリームービーとして大ヒット。作風自体も“誰にも理解されない変わり者”というバートンのオリジン的なモチーフを手放すことなく、“受け入れられること”への喜びがよりわかりやすい形で描かれるようになっていく。

オールドファンとしては“闇”の部分が減ったと寂しく思うところはあるのだが、それは「いつまでも思春期をこじらせてください」というファンの勝手なわがままでもある。実際、バートンはすでに60歳。作品すべてにバートンらしい刻印を押しながらも、表現の幅を広げ続けているのである。

■いびつな個性、才能の開花…『ダンボ』はバートン的ストーリー

そしてバートンの最新作が、古巣ディズニーの名作アニメーションの実写化である『ダンボ』ということになる。そもそもオリジナルの“ダンボ”は、耳が大きく生まれたせいで仲間の象から仲間外れにされてしまうサーカスの子象という設定。いびつな個性によって疎外された主人公が自らの才能を花開かせるという、バートンのためにあつらえたようなバートン的なストーリーと言える。

バートンは『ビッグ・フィッシュ』でもサーカスの世界を描いていたが、本作でサーカスの団長役にキャスティングしたのは『バットマン・リターンズ』でペンギン役を演じたダニー・デヴィート。いや、むしろこの場合は『ビッグ・フィッシュ』のサーカス団長役として紹介すべきだろう。さらにサーカス団を合併吸収してしまう大富豪の興行主役に『ビートルジュース』『バットマン』のマイケル・キートン。美貌の空中ブランコ乗りに『ダーク・シャドウ』(12年)『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』(16年)のエヴァ・グリーンと、バートン作品を支えてきた旧知の顔ぶれが参加。まさにバートン組が再結集した、ホームの環境で作った作品なのだ。

かつては恐るべき反逆児だったバートンが、ディズニーのファミリームービーという枠組みをリスペクトしつつ、ぐぐっと自らの世界観に引き寄せたバートン流の『ダンボ』。画面の端に映る曲がりくねった木の一本一本にまで“らしさ”を感じさせる、バートンとダンボの幸福なコラボレーションの成果なのである。

文/村山章

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最終更新:3/30(土) 10:10
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