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30~40代の「孤独死」壮絶な後始末に見えた現実

4/1(月) 5:00配信

東洋経済オンライン

特殊清掃、略して“特掃"――。遺体発見が遅れたせいで腐敗が進んでダメージを受けた部屋や、殺人事件や死亡事故、あるいは自殺などが発生した凄惨な現場の原状回復を手がける業務全般のことをいう。そして、この特殊清掃のほとんどを占めるのは孤独死だ。拙著『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』の中から、近年増え続ける孤独死の特殊清掃現場を追った。

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■かつてはアウトドア派だった40代男性の孤独死

 現役世代の孤独死も実は深刻な問題になっている。現役世代は、その存在すら周囲から認知されておらず、孤独死しても長期間放置されることが多いからだ。

 孤独死の8割を占めるのが、ごみ屋敷や医療の拒否などの緩やかな自殺と呼ばれるセルフネグレクトだ。

 10年以上にわたって原状回復工事(特殊清掃)に携わる武蔵シンクタンクの塩田卓也氏は、孤独死とセルフネグレクトについてこう語る。

 「現役世代の孤独死現場の共通点は、薬、インスタントラーメン、お酒、タバコが見つかることなんです。ほとんどがセルフネグレクトですね。パワハラや離婚、病気などをきっかけにして、孤立して家に引きこもるようになり、セルフネグレクトに陥ってしまう。個人的な考えですが、孤独死が全部本人の責任なのかというと、そうではないと思うんですよ」

 認知症などが要因となってセルフネグレクトになる高齢者と違って、現役世代は、人生の重要な局面でつまずいた結果、孤独死を迎えてしまうケースが多いのである。

 その一例をご紹介したい。

 現場は、さいたま市にある3階建てのペット可のマンションで、亡くなったのは糖尿病とうつ病を患う40代の男性だった。男性は数年前から生活保護を受けていたらしい。

 塩田氏がマンションの前に着くと、小型犬を抱えた中年女性が、不安そうな目で待ち構えていた。

 「すいません、下の階に住んでる者なんですけど、あの部屋の中に猫がいるはずなので、生きているか、見てもらえますか」(女性)

 「わかりました」(塩田氏)

 部屋の中は、電気が切れていて、窓という窓がプラスチックの段ボールで、遮蔽されていて真っ暗だった。男性は、光を一切閉ざして、外部からの者をはねつけるような生活をしていた。

 そのため、塩田氏は、頭に付けていたLEDのヘッドライトの光を頼りに部屋に入らざるをえなかった。

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