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ラボで生産された培養肉は、本当に「環境に優しい」と言えるのか?

4/3(水) 19:12配信

WIRED.jp

動物細胞から培養された「ラボ産の肉」のハンバーガーを食べる未来が、急速に近づいてる。培養槽で肉を製造することは、屠殺を減らすことつながるうえ、炭素排出量も大幅に削減できるという発想だ。

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牛を巡っては、飼育に始まり、解体処理から輸送に至るまで、大量のエネルギーが使用されている。そのうえ牛の消化器官からは、温室効果ガスであるメタンが大気中に膨大に放出されるのだ。したがって、培養肉は環境によいという考え方が生まれた。

ただ問題がある。「試験管肉」とも呼ばれるこの肉が牛の個体から得られる肉よりも環境に優しいという仮説を、実際に裏付けるデータはほとんどないのだ。

牛が環境に及ぼす影響を科学者たちはすでに理解している。米国における温室効果ガス排出量の約4パーセントは、畜産によるものだ。一方で、培養肉が世界規模で生産された場合の影響は、まだ数値化されていない。

勝算がありそうな培養肉

しかしながら培養肉に関する産業の来るべき発展を見据え、こうした産業からの排出量をモデル化しようと科学者たちは試み続けている。この試みにまつわる興味深い問題点を、オンライン・ジャーナル『Frontiers in Sustainable Food Systems』に2019年2月19日付で掲載された論文は指摘している。それは、すべての温室効果ガスが同じ影響をもつわけではないという点だ。

牛の飼育においては大量の穀物と水が必要になるほか、二酸化炭素とメタンが発生する。これに対して、培養肉ではそれほど多くのメタンは生じない。メタンの温室効果は二酸化炭素よりもはるかに大きいことから、この比較を聞く限りでは培養肉に勝算があるように感じられる。

しかし、メタンが大気中に残っている期間は二酸化炭素よりもはるかに短い。メタンが大気中にとどまる期間は12年だが、二酸化炭素は数千年である。つまり、大規模な培養肉生産の幕開けとともに二酸化炭素の大量排出が始まれば、長期的にはこの点が問題になる。

「培養生産でエネルギーを集約するというのは、かなり極端なケースになるでしょう。基本的には化石燃料から生じる二酸化炭素を、牛のおならやげっぷとして放出されるメタンに置き換えることになります」と、論文の筆頭執筆者でオックスフォード大学の環境科学者であるジョン・リンチは語る。

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最終更新:4/3(水) 19:12
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