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赤ちゃんがわんわん泣くのには理由があった

4/3(水) 12:00配信

日経DUAL

「泣いた赤ちゃんにイラっとしちゃう。私はダメ親だ」

「子どもを預けて、女の人が働くのは悪いことなの?」

【関連画像】お母さんに抱かれたオランウータンの赤ちゃん(1歳)Tomoyuki Tajima@Japan Orangutan Research Center

「どうしてうちの子はご飯をちゃんと食べてくれないんだろう」

そう思ったことはありませんか?育児の悩みも、「ヒトの進化」に理由がある……。そう感じさせられたのが、今回インタビューしたオランウータンの研究者、久世濃子(くぜ・のうこ)さんのお話です。久世さんは、毎年、東南アジアのボルネオ島(マレーシア)に行き、フィールドワークをしています。乳児を背負って密林の中でオランウータンを追いかけたこともあるそうです。類人猿の研究と、自身の子育ての経験から追究した、ヒトのあるべき子育てとは? たっぷりご紹介します。

(1) 赤ちゃんがわんわん泣くのには理由があった ←今回はココ

(2) 狩猟採集民に専業主婦はいない?

(3) しつけって、どうしたらいいの?

●オランウータンの赤ちゃんは静かで泣かない

――さっそくですが、サルとヒトの子育てで、最も違うことを教えてください。

久世濃子さん(以下、久世)顕著な違いは、 サルの赤ちゃんは泣きませんが、ヒトの赤ちゃんは泣くことです。

 オランウータンの赤ちゃんを森の中で観察していていつも感心するのは、 赤ちゃんがすごく静かで、お母さんの邪魔にならないことです。お母さんは、朝起きてから食べ物(果実や葉)を探して一日を過ごします。夕方になると毎日違う木の上で、枝を折り畳んでベッドを作って寝ます。

 赤ちゃんはこの間、ずっとお母さんのお腹に抱きついて、自分のペースで母乳を飲み、昼寝します。ヒトみたいに、泣いて駄々をこねることがないんですよ。

赤ちゃんは「泣く」というムチと「ほほ笑み」というアメを使いこなす

――とってもいい子ですね!

久世子育て中に、「オランウータンの赤ちゃんと取り替えたい!」と思ったことは数知れません(笑)。

 その半面、オランウータンやチンパンジーの赤ちゃんを、 ベッドの上であおむけに寝かせると、ジタバタしてちっとも落ち着きません。個体差はありますが、ぬいぐるみや毛布など「抱きつけるもの」を与えると、ようやくおとなしくなります。常にお母さんに抱きついていますから、「いつもの安心できる状態」に戻ろうとジタバタするわけです。

 ヒトの赤ちゃんはベッドであおむけに寝かされても、周囲の大人にほほ笑みかけたり、機嫌よく遊んだりできますよね。これは、お母さんに常に抱きついている生活をしなくなった証拠です。

 母親から離れて過ごすようになったヒトの赤ちゃんは、 「泣く」というムチと、「ほほ笑み」というアメを使いこなして、より多くの大人の注意を引きつけ、より長い時間世話してもらえるような環境をつくりあげることができるように進化してきたといえます。

――泣くように進化したなんて、なんでわざわざそんなことを、と思ってしまいます。

久世そう思うのも無理はありません。泣くのは周囲のストレスになり、リスクが高いことなので。でもリスクを冒すメリットがあったんですね。

 ヒトの祖先は、チンパンジーやゴリラたちが住んでいる森から、肉食獣が歩き回っているサバンナに出て行きました。森林が少なくなるなど環境が変動したからと言われています。サバンナで赤ちゃんが泣くと、群れが隠れたり逃げたりするところがなく、とても危険です。大人たちはあわてて赤ちゃんの世話をしたことでしょう。

 つまり、 「泣くことで、お母さん以外の大人の注意を引きつけて、世話をしてもらえた」メリットが、非常に大きかったのです。

――静かにお母さんにくっついていることをやめた、ということですか?

久世この時期の人類は、サバンナに出たため、生存率が著しく下がりました。短い期間でとにかく子どもをたくさん産まないと、群れが維持できなかったのです。でも、小さな子どもを同時に何人も育てるのは、母親一人では不可能です。だから、他の大人に育児を手伝わせるように、赤ちゃんが進化した、というわけですね。

――子育てをお母さんだけの役割にさせないよう、赤ちゃんは進化した!

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最終更新:4/3(水) 12:00
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