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秘かなブーム、“ライブビューイング“という新しいエンタメの楽しみ方

4/4(木) 18:02配信

otocoto

スポーツ競技やコンサートの現場にいる臨場感を、その場にいる人々と共有するパブリックビューイング。今、これと同じように、世界の一流オペラハウスや劇場で上演されるオペラやバレエやミュージカルを、同じ客席にいるように体感しながら鑑賞する、ライブビューイングが人気だ。欧米の名だたるオペラハウスに、ブロードウェイやロンドンの劇場、そして日本の歌舞伎座や宝塚大劇場まで。世界有数の劇場が上演するとっておきコンテンツの数々を、近くの映画館で手軽に味わう時代なのだ。


■ライブビューイングの先駆者、METオペラ

ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)は、約4000席の大歌劇場で、大スター歌手がこぞって出演する点でも、世界でもっともゴージャスなオペラハウスのひとつ。ライブビューイングの可能性にいち早く気づき、継続的にオペラを全米および全世界にライブ配信するシステムをつくった先駆的存在でもある。

ライブビューイングにあたっては、外注ではなく歌劇場内部で撮影チームを組織。クレーンやレールまで駆使した多彩なカメラワークで迫力満点の舞台中継を行うだけでなく、舞台袖やオーケストラピット、マエストロの楽屋にまでカメラが潜入する自在さで、作品としてのオペラと、上演に携わるキャストやスタッフのリアルな表情の両方を、存分に楽しむことができる。

オペラが休憩時間に入ると、映画館も休憩。スクリーンには、最初は歌い終えた直後の歌手がインタビューに答える様子が映し出され、やがて舞台で装置の転換を行うスタッフの映像となり(この時間に売店やトイレに行く人多し)、開演が近づく時間帯になると、指揮者や演出家などクリエイティブ・スタッフのインタビューが始まって、作品への理解が深まったところで次の幕があく、という構成になっている。

5月10日(金)より公開の《ワルキューレ》は、作品のスケールも上演時間も超ド級のワーグナーによる四部作《ニーベルングの指環》の中で絶大な人気を誇る第二作目。大胆なビジュアル・イメージでマジカルな演出を展開する天才演出家ロベール・ルパージュが、舞台全体を覆う勢いの巨大な装置を、さまざまに変容させて神話の世界を描いてみせる。METでなければできない大スペクタクルだ。


■ニューヨークのブロードウェイ・ミュージカル

ニューヨークのブロードウェイには、40以上の劇場がひしめき、日夜さまざまな作品が上演されている。ロングランするものもあれば、すぐに閉幕してしまうものもあり、最初から期間限定で上演される作品もあって、めまぐるしいことこのうえない。そんな山ほどあるブロードウェイで上演された近年のミュージカルの中から「とっておきをセレクトしてみました」というのが、この松竹ブロードウェイシネマだ。

今回の『シー・ラヴズ・ミー』は、2016年に上演され、第70回トニー賞(映画のアカデミー賞に相当するアメリカ演劇界最高の栄誉とされる賞)で8部門にノミネートされ、ミュージカル装置デザイン賞に輝いた逸品。1934年のブダペストの香水店を舞台に、顔を合わせれば喧嘩ばかりしている同僚が、実は恋いこがれる文通相手だった──というトム・ハンクスとメグ・ライアンの映画『ユー・ガット・メール』と同じミクロス・ラズロの原作をミュージカル化したもので、ブロードウェイでの初演は1963年。

この1963年『シー・ラヴズ・ミー』のリバイバル版も、古きよき時代の香りを漂わせた、絵に描いたようなアメリカン・ラブ・コメディにして、ブロードウェイ・ミュージカルの王道。キャストの演技の確かさ、歌のうまさ、場面転換の見事さなど、どこを取っても文句のつけようがない素晴らしさだ。画面から舞台と客席の近さも伝わってきて、ブロードウェイの劇場にいるような錯覚に陥ってしまう。

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最終更新:4/4(木) 18:02
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