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ヤマアラシの密猟が横行、狙いは体内の「石」

4/5(金) 7:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

このままではセンザンコウの二の舞と専門家

 ヤマアラシが乱獲されている。目当ては、消化管内で未消化の植物が固まった「ベゾアール」と呼ばれる胃石だ。野生生物取引の専門家によれば、ヤマアラシは東南アジア全域で危険にさらされているという。

ギャラリー:希少な哺乳類センザンコウの愛らしい姿 写真12点

 ヤマアラシの需要があるのは、主に中国。ヤマアラシの胃石に強力な薬効があり、糖尿病やデング熱、がんを治すことができると一部で信じられている。ただし、胃石の治療効果を裏づける科学的証拠は存在しない。

 胃石はそのままか、あるいは粉末状で販売され、数オンス(1オンス=約28.35グラム)で数百ドル、さらには数千ドルの値が付く。特に珍重されるのは深紅の「血の色」をした胃石で、最も薬効が高いと信じられている。野生生物取引の監視団体トラフィックが2015年に公表した報告書によれば、胃石の価格は「がんが治るという宣伝の効果で近年、急騰している」という。

 ヤマアラシの密猟の規模は不明だが、トラフィックや英国の環境調査エージェンシー(EIA)、米国の野生生物保護協会(WCS)が調査を求めている。東南アジアに生息するパラワンヤマアラシやマレーヤマアラシは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで個体数が減少中と評価されているが、絶滅危惧種にはまだ指定されていない。

「これらの種は悲痛な声を上げていますが、保護コミュニティーはあまり注目していません」と、野生生物取引のデータを集めているカナダの団体、モニターの事務局長クリス・シェファード氏は話す。ヤマアラシの「現状は、かつてのセンザンコウとよく似ています。15年前、センザンコウは誰にも知られていませんでした。野生での状況や、取引状況を早急に調査する必要があります」(アジアとアフリカに分布するセンザンコウは、世界で最も取引が盛んな哺乳類と考えられている。うろこの需要が高く、中国伝統医学に広く使用されている)。

 シェファード氏は東南アジアを中心に、25年前から野生生物取引を追跡しており、生きたヤマアラシが中国へ大量に密輸されているという報告を何度も受けている。密輸されたヤマアラシは命を奪われ、胃石を取り出すために腹部を切開されるそうだ(トラフィックの専門家によれば、消化管に胃石を持つヤマアラシは10匹中1匹程度だという)。

「クマの胆のうの取引を調査していると、ヤマアラシを見かけることがよくあります」とシェファード氏。国際取引と国内取引のルールや分類が統一されていないことが、ヤマアラシの密猟や違法取引を助長していると語る。しかし現在のところ、東南アジアのヤマアラシは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES、通称ワシントン条約)」で取引を禁止されていない。

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