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死にかけの星を回る惑星を発見、未来の地球か?

4/6(土) 10:31配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

白色矮星を回る微惑星、バラバラに引き裂かれ瓦礫の円盤に

 死が間近に迫った星のすぐ近くを回る惑星が発見され、学術誌『サイエンス』に発表された。このような系外惑星が発見されたのは初めてで、私たちの太陽の死期が迫ってきたときに地球が直面する運命を垣間見せてくれるという。

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 太陽とは別の恒星のまわりを公転する系外惑星が初めて確認されたのは、1995年。この発見により、宇宙には私たちの太陽系のほかにも多くの惑星系がある可能性が出てきた。

 以来、約4000個もの系外惑星が見つかっているが、そうした惑星系をもつ恒星は、ほとんどが太陽と同じ「主系列星」だった。主系列とは、恒星が健康的に燃焼している高温で明るい段階で、数十億年続く。

 けれども今回見つかったのは、燃え尽きて死が迫っている「白色矮星」のすぐ近くを回る惑星だった。

ガスの円盤から届く光を分析

 英ウォーリック大学の天体物理学者クリストファー・マンサー氏が率いる研究チームは、白色矮星を取り巻くガスの円盤から届く光を集めて分析する分光法という手法を用いて、白色矮星のまわりに岩石質の天体を発見した。この手法で白色矮星のまわりの惑星が特定されたのは初めてだ。

 マンサー氏らは、スペインのラ・パルマ島にあるカナリア大望遠鏡を使って、円盤中のカルシウムが放つ光の色を観測し、2、3分おきにスペクトルをとることで、円盤中の天体が地球に近づいたり遠ざかったりする際のわずかな色の変化を検出した。このような色の変化は「ドップラーゆらぎ」と呼ばれる。パトカーが通り過ぎるときにサイレンの音の高さが変化して聞こえるドップラー効果と同様の現象だ。

「この色の変化を利用して、円盤中を2時間の周期で公転する微惑星の存在を確認することができました」とマンサー氏は言う。この天体が微惑星とされているのは、サイズが比較的小さいからだ。

地球の未来は暗そうだ

 科学者たちが系外惑星を研究する主な理由は、私たちの太陽系の進化について理解を深められるのではないかと期待するからだ。マンサー氏は、この微惑星はかつて地球のような惑星だったと考えているが、そうだとしたら、地球の未来は暗そうだ。

 この微惑星の主星の燃料が尽きて膨張しはじめたとき(太陽に似た恒星の多くが、生涯の最後にこうなると考えられている)、主星の巨大な重力により、すぐ近くを公転する惑星はバラバラに引き裂かれて岩石質の核だけになり、その周囲を取り巻く瓦礫の円盤ができた。マンサー氏は、地球の最後も同じようになると考えている。

「今から約50億年後に太陽が燃料を使い果たして膨張すると、水星と金星、おそらく地球も、太陽にのみ込まれてしまうでしょう」と彼は言う。「火星、木星、土星、小惑星帯などの天体は生き残るでしょう。ただ、質量を失ったり、太陽が白色矮星になったりするので、公転軌道は大きくなるかもしれません」

 米コーネル大学カール・セーガン研究所の所長である天体物理学教授のリサ・カルテネガー氏は、今回の研究には関与していないが、地球が微惑星になったとしても悪いことばかりではないかもしれないと言う。白色矮星のまわりを公転する微惑星どうしが衝突すれば、やがて融合して新たに安定した惑星を形成するかもしれないからだ。このプロセスを検討した彼女は、再形成された惑星に生命が誕生する可能性もあると考えている。

「白色矮星がさらに冷えたあとも、こうした惑星は数十億年も穏やかな条件を維持できることがわかっています」と彼女は言う。新しい惑星が誕生すると、最初は表面の水が失われるかもしれないが、彗星の衝突などにより、生命を育む水が再びもたらされるかもしれない。「高温で乾燥したゾンビ惑星の代わりに、再び生物が誕生できるような惑星が形成されるかもしれません」と彼女は言う。

「この論文は、若い白色矮星のまわりの微惑星から惑星が形成されるしくみの解明に向けた最初の一歩になるのです」

 マンサー氏は、今回の分光法を、ガス円盤を持つほかの惑星系にも適用してみたいと考えている。そうした惑星系には、惑星のライフサイクルを知る助けになる微惑星がもっとあるかもしれない。「次の微惑星を探したいのです」と彼は言う。

文=Catherine Zuckerman/訳=三枝小夜子

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