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古今東西 かしゆか商店【金網の吊りカゴ】

4/8(月) 0:05配信

Casa BRUTUS.com

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回は日本一の手仕事の街・京都で、“京金網”の店を訪問。古都の美しい暮らしを支える手編みの台所道具と出会った。

手仕事の買い付けを始めて強く思うのは、職人さんがものをつくる様子を実際に見てから購入できることのありがたさです。「シンプルに見えてこんなに手間がかかっているんだ!」「この形にはそういう歴史と理由があったのね」 そうやって買った道具を使うたびに「手でつくられている」ことを思い出し、愛着がわいてきます。今回はその楽しさを伝えたくて、京金網の店〈辻和金網〉を訪問。こちらではタイミングがよければ、店内で台所道具を編んでいる光景を見ることができるんです。

京金網は、平安時代に始まった伝統工芸。細い金網を編んでつくる生活道具や調理道具は、熟練した手先が生む美しい細工と、理にかなった形が特徴です。

「料亭や料理屋さんからの注文で発展したのが京金網。今も家庭用からプロ用の道具まで幅広くつくっています」と3代目の辻泰宏さん。なるほど、京都の料理人の厳しい目に鍛えられてきた手仕事なんですね。店内には京都ならではの“湯どうふ杓子”やお香立て、干し野菜や干し椎茸をつくる干しカゴまで、気になるものがいっぱい! さっそくつくるところを見せていただきました。

「手で編んだものは編み目が六角になります」と話しながら、釘を打った台に細い針金を引っ掛ける辻さん。それを指先の感覚だけで交差させ、カチッカチッとねじって締めて編みあげます。この「ねじり」が強さと美しさの鍵。機械編みに比べて手編みは、つくりは丈夫で見た目は柔らか。特に銅の針金を使ったものは、抗菌作用もあり熱伝導もいいそうです。

「編み方次第でいろいろな形や模様ができるのも、金網細工の特徴。先代から受け継いだデザインもあるし、お客さんのリクエストでつくったものが定番になることもあるんですよ」。シンプルで規則的に見える編みも、道具の用途にあわせてねじりの数を変えたり二重に編んだりと、複雑な工夫が施されています。伝統を守りながらも、手加減ひとつで自由自在。緻密さとおおらかさが同居しているように見えました。

さて、今回の買い付けもリアルに欲しいものが多くて迷いましたが、タマネギやニンニクを入れてキッチンに吊しておいたら素敵だろうな……と、実際に使うシーンが想像できた「銅の吊りカゴ」に決定。美しい編み目にほれぼれする、“千年の都”の手仕事です。

photo_Keisuke Fukamizu editor_Masae Wako hair & make-up_Masak...

最終更新:4/8(月) 15:50
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