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高まる米の反中感情、ただし米中覇権戦争は起きない

4/8(月) 5:00配信

日経ビジネス

 2月下旬から3月半ばまで約3週間、欧米各国を回り、有識者と懇談してきた。今回はそこで得た感触を報告する。

●高まる米政権の反中感情、中国の譲歩受け入れず

 まず米国について。俯瞰(ふかん)すると、米国における対中感情は非常に悪化している。トランプ政権はもちろん、議会も対中強硬姿勢を強めている。この点において民主党、共和党に差はない。いずれの議員も選挙民の意向を気にしている。すでに2020年の選挙が視野に入ってきている。メディアも同様だ。彼らは政権や議会のメンバーから話を聞く。当然、その影響を受ける。比較的、親中だった産業界も政府や議会ほど反中ではないが、ある程度態度を変えつつある。

 対中強硬派の人々は、中国がどれほど譲歩しようと、一切受け入れる気がないといった様相だ。中国で3月に開催された全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)の政治活動報告において、李克強首相は「中国製造2025」に触れなかった。米国との関係に配慮しての重い決断であったが、トランプ政権はこれを評価しなかった。「どんな譲歩をしても無駄」の感がある。

 中でも最強硬派は、政権内で力を持つライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とナバロ国家通商会議委員長だ。中国は3月15日、2020年1月に外商投資法を施行すると決議した。①外資系企業に対する技術移転の強制を禁止する他、②ネガティブリストの項目以外は内外企業を差別しない、③外資系企業に影響が及ぶ法制度を新設する場合は事前の意見聴取を義務付けるなど、米国の意向をくんだ新法だ。それでも、最強硬派は「十分でない」として、さらなる譲歩を求めている。

●まだら模様の反中感情

 ただし、少し寄って見てみると、米国は反中一色とは言えない部分もある。政権内でもすべてのメンバーが最強硬派と同じポジションを取っているわけではない。ムニューシン財務長官やクドロー国家経済会議(NEC)委員長らは外商投資法の施行をある程度評価している。トランプ大統領は強硬派と穏健派の中間だ。

 地域別に見ると、ワシントンとその他の都市では趣が異なる。ニューヨークは中国そのものにあまり興味がないふうだ。学問の街であるボストンは、各人の立場によって傾向が異なる。安全保障の専門家の見方はワシントンの政治家たちに近い強硬路線だが、国際政治学者はワシントンに共感していない。

 西海岸に目を移すと、サンフランシスコやシリコンバレーでは中国よりもGAFA(米国のIT大手。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字を取った)によるプライバシー侵害に対する目が厳しい。民主党の牙城であるカリフォルニア州の政治家たちの間ではトランプ大統領への不信感が強く、中国問題の解決は同氏が政権を去ってから、とあきらめ顔だ。

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最終更新:4/8(月) 5:00
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