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「水上浮遊都市」が大都市の住宅問題を解決する?国連人間居住計画が議論

4/10(水) 7:11配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

人口が集中する沿岸地域の危機に新たなアプローチ

 世界の居住地問題に取り組む国連のプログラム「国連人間居住計画(UN-Habitat)」はこのほど、「持続可能な水上浮遊都市」構想についての会合を実施した。投資家や科学者、そしてビデオ会議システムで繋がったケニアの学生たちが、住居から商業、教育、娯楽まで、施設が整った水上都市の可能性について話し合った。

ギャラリー:国連計画が議論した「水上浮遊都市」構想 写真とイラスト9点

 水上浮遊都市と聞いても、現実味のない話に感じられるかもしれない。

 しかし、世界中の沿岸地域の都市は、極端な空間不足に直面しており、その度合は急速に悪化しつつある。

 地球温暖化が進行する中、氷床の融解や海水温の上昇などによって、海水面がこの先数百年にわたって容赦なく上昇を続けていくことはほぼ間違いない。また、世界の都市化と人口の急増が、沿岸部が抱えるリスクの拡大に拍車をかけている。

 こうした事情を考慮すると、水上浮遊都市というソリューションを検討しないことこそ現実味がないと、提案者である「オーシャニクス社」と、デンマークの建築家ビャルケ・インゲルス氏らは主張する。

 彼らが最終的に目指しているのは、海岸の都市化が限界に達した地域に、いくつもの“衛星都市”をまとめて浮かべることだ。これらの都市は、嵐にも耐えられる設計の、六角形をした量産型浮遊モジュールから形成される。

 モジュールは船で所定の位置まで曳航され、水上都市を形成する大きなモジュール群に固定される。モジュール群の上には、持続可能性を考慮して建てられた住宅、職場、娯楽施設、宗教施設などが載っている。海岸との連絡にはフェリーやドローンが活用される。コミュニティはできる限り、水上都市内の太陽光などの再生可能エネルギー、循環水や雨水、地元産の食品によって維持される。

アジア沿岸の人口密集地を想定

 このプロジェクトを発案したのは、米ハワイ生まれでタヒチと中国にルーツを持つ起業家、マーク・コリンズ氏だ。氏は10年以上前からさまざまな類似計画の実現に向けた活動を続けており、中には、政府による規制や税金を逃れる手段として「シーステディング(どの国にも属さない海上建築に移住すること)」を望む人たちから支持を得たものもあったという。

 インタビューの中でコリンズ氏は、海上浮遊コミュニティが成功するには、政府の支援が不可欠であり、どこかの国の沿岸海域内に作るのがベストだと述べている。

 今回提案したのは、実現への妥協点を探り、アジアを中心に投資家を募るためだった。アジアの都市はとくに人口が密集して不動産価格が高騰している一方、政府の力が大きいことから、開発を組織的に推進するのに適しているからだ。

 しかしコリンズ氏は、こうしたプロジェクトでは富裕層だけでなく、都市の住人全員が恩恵を受けることが極めて重要だと述べている。「このプロジェクトは、貧困層が海岸で溺れているのを一部のお金持ちが眺めるといったものにはなりません」

 この会合を主催した「国連人間居住計画」は、1978年に、社会的・環境的に健全なコミュニティを追求するために設立されたプログラムだ。

 こうした型破りなアイデアを取り上げたことについて、同機関の管理担当事務次長、ビクター・キソブ氏はこう述べている。「巨大ハリケーンや、アフリカ南東部を襲ったサイクロンへの対策を探しているとき、このアイデアに出会ったのです。マークの話を聞き、彼の設計を見てみたところ、斬新だが非常に実際的と思えました」

 会合では、こうしたプロジェクトに、理論上どのようなメリットがあるかが明らかにされた。海水面の上昇や高潮による脅威は、数キロ沖合の海には存在しない。沿岸地域ではあれほど恐ろしい津波でさえ、海上都市にとってはそこまでの脅威にはならない。なぜなら、地震によって引き起こされる波が破壊的な高さになるのは、海が浅くなる海岸近くだけだからだ。

 海上は、大半の国で安価に借りられる。これに対して、香港やラゴスのような都市の不動産価格は天文学的な数字だ。

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