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命を奪う火砕流、猛スピードの原因を解明、最新研究

4/10(水) 17:44配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

火砕流の「指紋」を探して

 今回の論文は、火砕流のモデルに組み入れるべき重要なデータを提供していると、英ハル大学の火山学者、レベッカ・ウィリアムズ氏は述べている。

 実験室で火砕流を再現することは、最近よく行われている。「実験では、実際の火砕流の活動のごくわずかな断片を垣間見るだけです。しかし、そうした断片の一つひとつは、あの恐ろしい火砕流についての知識を構築するうえで重要なのです」

 カナダ、ブリティッシュコロンビア大学のジョハン・ギルクリスト氏は、今回の研究を評価しつつ、これまでにも火砕流がなぜあれほど遠くまで到達するのかを説明する有力な研究があると指摘する。

 また同氏は、研究チームのコンピューターモデルによる推測は簡略化されたものだとも述べている。今回の新たなシミュレーションは最先端のものではあるが、これを最も大規模で、最も破壊力の強い火砕流に対して、どこまで適用できるかはまだわからない。

 研究の次のステップは、まずモデルの精度を上げること、そして同じく重要なのは、現場に戻ってみることだろう。空気のクッションの上を滑る火砕流から途中でこぼれていった岩屑の中に、特徴的な“指紋”が残っている可能性があるからだ。火山学者がそうした痕跡を探せれば、火砕流が空気の上を滑るという説を補強できると、ギルクリスト氏は言う。

 謎は完全に解明されたわけではないが、今回の研究が「重要な前進」であることは間違いないと、スミソニアン研究所のグローバル火山活動計画の火山学者、ジャニーン・クリップナー氏は述べている。

 活火山から約100キロ圏内には現在、約8億人の人々が暮らしており、「火砕流はこうした地域の人々の命を奪う大きな要因となります」と、クリップナー氏は言う。「わたしたちが行う研究はすべて、コミュニティ支援のために生かされます」

文=ROBIN GEORGE ANDREWS/訳=北村京子

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