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サーキットもファンライドも楽しめるグロムは「ゲンニ」の救世主!?「HONDA GROM」 #伊藤真一のロングラン研究所

4/11(木) 22:29配信

webオートバイ

初めてグロムに乗ったのはスポーツランドSUGOのミニバイクレースでしたね (伊藤)

実はグロムには、今回の試乗で取り上げるまで公道で乗ったことがなかったんです。初めてグロムに乗ったのはスポーツランドSUGO、ミニバイクコースの西コースで行われたレースでした。その時は、地元のライダーが多く参加していたので、先輩として彼らには絶対負けられないな、と意気込んで走っていましたね(笑)。その時に乗ったグロムは、ブロックパターンタイヤのグロムでしたけど、みんな同じ仕様だったのでイコールコンディションでした。12インチのレース用タイヤではないので、ギリギリまで攻めないとタイムが出ないんです。ここまでは攻めることができる……そのギリギリの限界がわかる人と、ギリギリの限界がわからない人だと、出せるタイムに大きな差がつきます。

あと、グロムのライディングポジション的に、「リア乗り」にならないと駄目ですね。かなりのリア荷重で、リアタイヤの滑り具合をコントロールしつつ、絶対に「力」を入れないようにして乗っていました。そうしてタイムを出して、絶対に自分が一番のタイムだ!と思ったのですが、表示を見たら5番手くらいのタイムなんです。

それでさらに、これは絶対に負けられない!と思いまして、必死こいてタイムアタックを毎周繰り返しました。身長が高い分体重が重いので、小さいバイクで走る時はどうしても体重の軽い人と競り合いすると不利になるんですよ。そのレースの時は、まわりは体重の軽いライダーばかりでした。自分は体重が重い分、サスペンションも沈みがちなのでマフラーも路面に当たってしまって、バンク角が制限されてしまいます。体重が軽い人よりもバンク角が制限されてしまうとなると、対抗するにはブレーキの突っ込みで頑張ることと、立ち上がりでスロットルを早く開けることしかないわけです。後は「無駄のない走り」を突き詰めることですね。

すべてのコーナーで、連続して一度もミスすることなく「針の穴に糸を通す」ように速さを追求する感じです。毎周タイムアタック! で、自分が試すことができることは全て試しましたよ。全開のままシフトアップとか、コーナリングスピードを極限まで上げることとか……。グロムの4速ミッションはクロスレシオではないので、各ギアでレッドゾーンまで引っ張ってシフトアップしたほうが良いのか、早めにシフトアップしたほうが良いのか、とか色々試しました。その時は一心不乱だったので、正確には覚えていないですけど高いギアでメチャクチャ早くスロットルを開けていくのが、一番タイムが出たと思います。ブレーキングでどんどん突っ込むところを深くしていって、そうすると若干車体がヨレるのでそれを逃がすためにブレーキを引きずるようにして行ったら、どんどんタイムが上がっていくようになりました。そうして一周まとめ上げたタイムが、その日のベストタイムでした。

それがどうした!と言われそうですけど(苦笑)、自分がグロムでサーキットを走った時に一番面白かったのは、「走り方」の工夫ができるということです。例えば、大排気量のスポーツバイクで同じことを安全に試すのは非常に難しいです。自分も全日本選手権のJSB1000クラスで、その時にグロムで試みたようなトライをするかと言えば、やはりそこまではいかないです。全てのコーナーで、「針の穴を通す」ことは絶対にしないですね。大排気量のマシンでサーキット走行をする時は、若干マージンを取って走らせていますから。

その点でグロムみたいなバイクならば、毎周これでもか~!って感じで攻めることができます。純粋に「走り」を大排気量車よりも安全に追求できることが、とても楽しかったことを覚えています。実は12インチの小径タイヤって苦手で、どちらかというとミニバイクでもホンダNS50のような、フルサイズの方が好きでした。小学生くらいの頃から自転車が好きで、時間があれば山に登って、自転車でダウンヒルをするが楽しみでした。何回もコケましたけど(笑)、山を下るときの体に風が当たる感じが好きでした。それが自分の乗り物体験の、原風景みたいなものですね。

サスペンションが付いていると、ストロークする時にジオメトリーが変化しますが、基本リジッドで26インチ以上のホイールの自転車が、一番ジオメトリーの意味が乗っていてわかりやすいです。

その点で12インチの小径ミニバイクは、タイヤの接地感が読み辛いですね。タイヤの面圧のかかり方が、ホイールの大きな乗り物とは違うんですかね? でもグロムをレースで乗って、小径は小径で速く走らせることができることが理解できましたし、速く走らせるための方法はホイールの大きさの違いは関係ないことを、把握することができました。

その後もグロムにはサーキットでしか接していなかったのですが、今回公道で初めてグロムに乗って、これは楽しいバイクだな! と驚きました。サーキットでは速く走らせることしか考えずに乗っていたので、普段乗っている純粋なレーシングマシンよりも遅いという感覚しかなかったです。

でも公道で乗ってみると、グロムって意外と速い!と思いました。ちょっとビックリしたくらい速いですね。グロムに搭載されている前傾単気筒エンジンは、前の連載で乗ったスーパーカブ125と基本同じエンジンとのことですけど、スーパーカブ125も意外なスポーツ性の高さに驚かされました。そのことを考えると、よりコンパクトな車体のグロムが、公道で活き活きと走るのも納得できます。

エンジンの各部に付いているセンサーによって、PGM-FIによる制御が効いているのか、ノッキングの兆候とかは皆無です。サーキット走行の場合は基本ブン回して走るだけなので気が付きませんでしたが、街乗りで乗っているとグロムのエンジンは、低中速域でトコトコ走っている時が、一番楽しいですね。サーキットを走っているときは4速しかミッションないのかと思いましたが、公道走行しているときはそこまで飛ばさないので、4速であることに不満を感じることはなかったです。

原付二種の中でも高価な部類のモデルではないですけど、サスペンション、ブレーキ、ホイールも結構お金がかかっている感じです。もし自分がグロムを入手したら、おそらくサーキットを走らせるより、公道で使うことを選ぶでしょうね。

でも、実際にグロムを入手したら、もっとエンジンが回るようにしようとか、まずはエンジンを分解してしまうと思いますね。もしも内部パーツを交換しないとしても、ちょっと圧縮を上げてみようか……とか、絶対にやってしまうと思います(笑)。

でも、ミニバイクサーキットで走らせたりする使い方もとても楽しいですが、グロムは素のノーマルのまま街乗りを楽しんだ方が、その作りの良さと魅力がわかるモデルなのかもしれませんね。ミニバイクサーキットでグロムに乗った時はあれこれと如何に速く走らせることばかり考えましたが、そういうことに凝り固まって乗るよりは、いろいろな楽しみ方を、オーナーになった方が自由に考えるのが、相応しいモデルだと思いました。

ああだこうだと速く走らせるためのウンチクを語るよりも、どれだけグロムと走ることを楽しめるのか、が大事なのでしょうね。



SPECIFICATION
●全長×全幅×全高:1755×730×1000mm
●ホイールベース:1200mm
●シート高:760mm
●車両重量:104kg
●エンジン形式:空冷4ストOHC単気筒
●総排気量:124cc
●ボア×ストローク:52.4×57.9mm
●圧縮比:9.3
●最高出力:9.8PS/7000rpm
●最大トルク:1.1kg-m/5250rpm
●燃料タンク容量:5.7L
●キャスター角:25゜00’
●トレール量:81mm
●タイヤサイズ(前・後):120/70-12・130/70-12
●ブレーキ形式(前・後):ディスク・ディスク
■価格:35万1000円

伊藤真一

最終更新:4/11(木) 22:29
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