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世界の海面上昇、3分の1の原因は山岳氷河の融解、研究

4/11(木) 7:11配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

世界各地の山岳地帯にある氷河の融解が進む。流れ出た水が海に流れ込んでいる

 まるで暑い夏の日の氷のように、世界中で多くの氷河が縮小している。

 2019年1月に学術誌「Nature Communications」に発表された論文によると、現在、世界の氷河は人類が登場してからというもの一番小さくなっている。氷が解けて露出した物質を調べてみると4万年前のものだった。

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 そして2019年4月8日付けの学術誌「Nature」に、世界中で融解した氷河が海面上昇にどのくらい影響を与えているかを数値化した研究が発表された。

 研究によると、1961年に記録がつけられるようになってから2016年までの間、南極とグリーンランドを除く氷河(山岳氷河)の融解によって海面は27ミリ上昇したという。氷河の融解が海面上昇の一因になっていることは以前から知られていたが、この研究では、その量と融解の速度を総合的に計算して明らかにした。

 NASA(米航空宇宙局)の観測では、1993年以来、全体として海面は年に3ミリずつ上昇している。そして今回の研究では、その3分の1ほどが山岳氷河の融解水によるもの、という結果が出た。これはグリーンランドの氷床融解による海面上昇に匹敵するもので、南極の氷床からの融解水よりも多い。研究ではさらに、世界の山岳氷河の多くが100年以内に消滅するかもしれないとも警告している。

 加えて、海水温上昇による熱膨張で、海面はさらに上昇すると考えられている。

山岳氷河の融解による海面上昇は年に1ミリ

 今回の研究は、世界の氷河分布を示したランドルフ氷河台帳によって区分された19の地域を調べたものだ。

 それぞれの地域に関しては、世界氷河モニタリングサービスの現地データを使用した。論文の著者で、スイスにあるチューリッヒ大学の地理学者フランク・ポール氏によると、いずれの地域においても、現地データが得られているのは1カ所か2カ所の氷河だけであるという。

 研究では、さらに詳しく分析するために、航空データと人工衛星からのデータも用いて氷河の量の変化を計算した。

 こうした計算の結果、冒頭に示したように、山岳氷河の融解による海面上昇は、過去50年間で27ミリだったことが示されたのだ。2006年から2016年までの氷河質量の変化を計算したところ、この期間に海面を1年間で約1ミリ上昇させていたこともわかった。

 論文の著者ポール氏は、「状況は年々悪くなっています」とコメントしている。ポール氏らのデータでは、1960年代と1970年代に、氷河はいつも通りの季節的な変化を見せ、夏には質量が減少し、冬には増加していた。だが1980年代には、増加した量よりも減少する量の方が多かった。1990年代に入ると、観測したすべての氷河で、質量の増加量が減少量に追い付けなくなった。

 なお、解けた氷河が海面上昇に及ぼす影響は、消失した氷河の総量を海の表面積で割ることではじき出している。

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