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ミニバンやSUVは大型でもFFなのに高級セダンがFRを採用するワケ

4/11(木) 6:20配信

WEB CARTOP

最近の高級セダンにはFRベースのAWDも増えてきている

 高級セダンを並べてみると、日米欧など、どの国のモデルであってもFRが多数派となっている。そうでなくとも、AWDであることが多く、FFの高級サルーンを見かけることはほとんどない。過去にはキャデラック・ドゥビルや三菱デボネアなどFFのショーファードリブンも存在していたが、いつの間にか消えてしまった。なぜ、高級サルーンはFRを採用するのだろうか。

国産高級セダンの代表格!

 高級サルーンはFRが主流と記したが、コンパクトカーからミニバン、ミドルサイズのセダンまで多くの乗用車はFFプラットフォームを採用している。フロントにエンジン、トランスミッション、ディファレンシャルを集約することでキャビンを広くすることが容易となるし、重量も軽くできるので燃費性能でも有利だからだ。

 少なくとも後席の広さについて、同じようなボディサイズであればFFレイアウトのほうが有利。FRではトランスミッションから後輪にパワーを伝達するプロペラシャフトが存在するため、後席中央のフロアが盛り上がってしまい、どうしても狭くなる。前述したFF高級サルーンが生まれた基本となるロジックは後席の広さにあった。

 しかし、現実として高級サルーンはFRが主流だ。メルセデスベンツSクラス、レクサスLS、キャデラックCT6といった高級サルーンはエンジンをフロントに縦置きしたFRプラットフォームである。

 また、アウディA8やホンダ・レジェンドといったAWDの高級サルーンも増えてきているし、SクラスやLS、CT6においてもAWD化が進んでいる。このあたり、高級サルーンに期待されるパフォーマンスとして、ブランディングの面からハイパワーユニットが必須であり、安定してハイパワーを伝達するためにAWDが必須というのがトレンドだ。

FRは後席の乗り心地に有利

 つまり、かつて言われていたような「フロントタイヤに駆動が入っていないFRはハンドリングがすっきりしているので高級サルーンに向いている」という理由は、メーカー自身が否定しはじめたともいえる。

 そもそも高級サルーンにおける真のオーナーは後席に座っているものであり、後輪を駆動する理由は、そのオーナーが体感できるメリットにあるはずだ。そして広さの面ではFRにメリットがないとすると、考えられるのは「後輪駆動は乗り心地がよい」という仮定になる。

 実際、後輪駆動の高級サルーンは乗り心地がよい。もちろん、ボディやシャシー、タイヤの選定など乗り心地を重視した設計になっていることもあるが、それであればFFでもカバーできる。

 しかし、前後重量配分が与える影響についてはFFでは真似できない。FFはどうしても後輪軸重が軽くなりがちで、いわゆるリヤが跳ねやすい傾向にある。その逆に後輪駆動はしっとりと落ち着いた挙動を出しやすい。前後重量配分におけるメリットは高級サルーンがFRをベースとする理由として無視できない。

 さらに駆動をかけると、駆動輪にかかわらず後ろに荷重移動をして後輪が沈み込むが、その際のタイムラグについても後輪で駆動しているほうが小さい印象がある。このあたりのリニアリティは、集中して気にしてみると、ゆっくり走っていても感じられるものであり、たとえ気にせずに乗っていたとしても無意識に後輪駆動のアドバンテージとして感じているはずだ。

 また、前輪駆動では加速時の荷重移動に伴って駆動輪の荷重が減っていくのに対し、後輪駆動では加速にリンクして駆動輪の荷重が増えて安定感がアップしていくことも微妙な乗り心地の差として感じられる要素といえるのではないだろうか。

山本晋也

最終更新:4/11(木) 6:20
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