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発達障害の睡眠問題、実はほぼ半数が悩みを抱えている

4/11(木) 11:20配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

発達障害に特有の不思議な眠気の可能性も

 ところでちょうど2年ほど前、筑波大学から「退屈になると眠くなる脳内メカニズム」の一端が解明されたと報告があった。ごく簡単に説明すると、彼らはマウスを使った実験により、大好物やおもちゃなどで気を引いてモチベーション(やる気)を高めると、意欲に関わる「側坐核」という脳部位の活動が変化して覚醒度が高まり、覚醒時間が延び、逆に睡眠時間が減ることを見いだした。

 この研究で明らかになった「やる気や興味、関心が覚醒度を上げる脳内メカニズム」が人でも働いているとすれば、ADHDのように注意が散漫だったり、自閉症スペクトラム障害のように注意や関心が向く領域がごく限られていると、モチベーションが高まる場面が少なく、患児や先のツイッターの主が悩んでいるような強い眠気が出やすいことの説明にもなりそうだ。

 一方で、発達障害の患者でみられる眠気には筑波大学の研究成果だけでは説明できない不思議な特徴が認められることがある。側坐核を介して調節される眠気は、睡眠不足による眠気と同様に、脳波でキャッチできる眠気である。ところが、発達障害の患者の場合には強い「眠気」を訴えているにもかかわらず、脳波を調べると実際には客観的な眠気が認められないという謎の検査結果になることが少なくない。

 もう少し具体的に説明すると、過眠症や睡眠不足であれば、日中に暗室で寝かせるとあっという間に(時には数秒から数十秒で)脳波上の睡眠状態に入る。ところが、発達障害の患者では自覚的には強い眠気があっても、脳波が睡眠状態になるまでにかかる時間は眠気のない健康人と同程度であることが多い。すなわち従来の睡眠科学で定義された「眠気」とは異なるものである可能性がある。

 彼らが感じている眠気とは何か? そもそも「眠気」の定義とは何か? これは睡眠―覚醒現象の本質にも関わる難問であることは間違いない。注意や意欲、意識などさまざまな方面から科学的アプローチが行われつつある研究テーマだが、浅学の私にはこれ以上解説する見識が無いので(ちょっとナイショにしたいこともあるので)、これでひとまず筆を置くことにする。今回のテーマに関連する記事を「睡眠の定義とは何か?―「脳波睡眠」という考え方」と「眠気の正体」に書いたので、関心のある方はご一読いただければ幸いである。

(三島和夫 睡眠専門医)

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