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亡き夫に3000万円の借金…自宅を失わず相続放棄はできる?

4/12(金) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

相続放棄は「プラスの財産」も引き継げない

 事例  突然死した父親に3000万円の借金が!

実の親の資産状況を正確に把握している、という人は実はあまり多くありません。親の死後に遺品整理をしていたとき、あるいは、債権者からの督促状が届いたときに、自分の親が生前に多額の借金をしていたという事実を初めて知った、という人も決して珍しくないのです。

東京の下町に住む斎藤隆(以下、全て仮名)さんは、2016年の11月に脳梗塞で突然亡くなりました。享年70歳でした。相続人となるご家族は、妻の明美さん(66歳)、そして長男の光一さん(45歳)、次男の孝明さん(41歳)、長女の緑さん(38歳)の4人。

光一さん家族はご両親と同居、他の2人は別に住まいをお持ちです。ご家族の間の話し合いにより、自宅の名義を妻の明美さんが引き継ぎ、預貯金をごきょうだいで分割することにしていたそうなのですが、遺品整理をする中で、隆さんに約3000万円の借金があることが発覚したのだそうです。

工事関係の会社を経営していた隆さんが、会社を存続させるために借り入れたものだったようですが、この借金の存在は、妻の明美さんさえも知らなかったと言います。私の元を訪れた斎藤さんの一家からは、「遺された遺産全てでも相殺できない金額なので、相続放棄をしたい」というご相談を受けました。

隆さんが亡くなってまだ1カ月しか経っていなかったので、相続放棄を検討するのは賢明な判断です。ただ、相続放棄をしてしまうと、確かに借金からは免れられますが、同時に自宅も失うことになってしまいます。

相続放棄とは、全ての財産を放棄することですから、当然ながらプラスの財産も引き継げないのです。お子さん方としては、明美さんが生きているうちは自宅を失いたくない、とのことでしたので、私は以下の方法をご提案しました。

1.第1順位の相続人である光一さん、孝明さん、緑さんは相続放棄の手続きをとる

2.第2順位の相続人(隆さんのご両親)はすでに他界されているので、第3順位の相続人となる隆さんのご兄弟2人にも相続放棄してもらう

3.1、2により、唯一の相続人となる明美さんが、全財産(負債含む)を相続する。負債に関しては、債権者との話し合いの上、可能な額を少しずつ返済する(返済については、同居している光一さんも陰ながら支援していく)

第1順位の3人(光一さん、孝明さん、緑さん)が全て相続を放棄してしまうと、第2順位、第3順位の親族に負債が回っていくことになります。隆さんのご両親(第2順位)はすでに他界されていましたが、隆さんの2人のご兄弟(第3順位)がご存命でしたので、その方々に影響が及ぶことは避けられません。

ご家族としては、親族まで巻き込みたくない、そもそも家族内のトラブルを知られたくないという気持ちが強かったようですが、そうは言っても背に腹はかえられません。最終的には、第3順位のご兄弟2人に事情を説明し、相続放棄していただくことになりました。

その結果、妻の明美さんは唯一の相続人となり、自宅の名義を守ることができました。もちろんその一方で負債を返済する義務は免れませんが、住む家の家賃代わりと割り切ればいい、と納得されたようです。

ただし、将来的には自宅は不要だとのことですので、明美さんが亡くなったあと、光一さん、孝明さん、緑さんが、明美さんの財産の相続を放棄すれば、前の相続で明美さんが相続していた負債を相続する必要はありません。

もちろん明美さんに兄弟姉妹がいれば、第3順位の相続人として相続放棄にご協力頂く必要がありますが、幸い明美さんにはごきょうだいがいなかったためその心配は不要でした。

相続はどなたかが亡くなる度に発生します。特に負債相続が絡むような場合には、その時になって慌てないよう、どのような選択肢があるのか、事前にある程度道筋をつけておくことはとても大切なことだと思います。

椎葉 基史

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最終更新:4/12(金) 10:00
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