ここから本文です

高金利外債に潜むリスク 長期で為替差損の傾向

4/13(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

国内の超低金利が続くなかで運用資産を増やしたいときに目が向くのが外貨建て資産。資金の一部を外貨で運用するのは長期の資産形成に役立つ一つの考え方だ。しかし、金利が高いからと外国債券に投資したのに数年後には損失を負っていたということもよくある。外貨投資の基本や実践法をみていこう。
「金利が高くてお得だと証券会社に勧められたのに……」。香川県在住の50代主婦が、トルコリラ建て債券で運用する投資信託を買ったのは2014年秋。当時10年物債券の金利は年10%近くあり、高額の分配金を受け取れると期待した。
しかしその後トルコリラの為替相場が対円で大きく下落。為替差損が生じた結果、これまで受け取った分配金を考慮してもなお4割元本割れしているという。

■インフレ率で判断

金利が高い国の通貨や資産に投資すれば有利だと考えがちだが、必ずしもそうではない。高金利の国では通常、物価上昇率(インフレ率)も高い。物価が上がれば通貨1単位で買えるモノの量は減る。「購買力が低下すると、他通貨に交換する際の為替レートも長期的に下落しやすい」(龍谷大学の竹中正治教授)
2つの国の物価を参考に妥当な為替レートの水準を測る考え方を「購買力平価説」という。基準となる時期を決め、それ以降の2国間のインフレ率格差を反映して理論値を計算する。
図Aで、購買力平価説によるトルコリラの理論値をみると、対円で長期的に下落しているのがわかる。同国で高インフレ、日本でデフレ傾向が長く続いてきたためだ。

理論値にさや寄せされるようにトルコリラの実際の為替相場は下落基調が続く。購買力低下を反映した動きなので、トルコリラが例えば「5年前の半値になったから今は買い時」などとは言い切れないのだ。

ブラジルレアルや南アフリカランドなど他の高金利通貨も同様に、長期的には購買力平価の方向に導かれるように下落している。高金利外債を買って金利収入を得られたとしても、結果的に為替差損の拡大で帳消しになることがある。
為替を決める要素は購買力以外にもさまざまある。それでも「長期ではインフレ率格差をベースに考えるのが基本」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏)と指摘する専門家は多い。
購買力平価の考え方を知っていれば外貨投資に生かせる。そのときの為替相場が購買力平価から大きく乖離(かいり)していた場合、「いずれ為替相場は本来の水準に戻るはず」と考えて投資戦略を立てられる。
ドルの対円相場を例にみてみよう。変動相場制になった1973年を基準とする購買力平価(企業物価の差から計算)は80年ごろには1ドル=200円台半ばだった。その後は米国のインフレ率が日本より年2%ほど高い状況が続いたのを映して長期で下がっている。
実際のドル相場も長期的に購買力平価とほぼ同じ方向、つまりドル安・円高方向に動いてきた。ここで注目すべきは、2国間の政治情勢などを背景に、購買力平価から大幅に乖離する時期が過去にあったことだ。
図Bでは時期によりドル相場が、購買力平価と比べてどれだけ上振れ・下振れしていたかを試算。さらに、それぞれ5年後にドル相場がどれだけ上昇・下落していたかを示した。

例えば2割強上振れした82年にドルを買っていたとすると、その後のドル安により5年後には5割前後の損失を負ったことになる。4割強下振れした95年にドルを買っていたら反対に2割の利益を上げられた。

図にはないが現在の購買力平価は1ドル=96円程度。実際のドル相場は110円前後なので、ドル高・円安方向に大幅に上振れしている状態だ。日銀の金融緩和政策の影響が大きいとみられ、経験則によれば、将来損失が出やすい水準にはある。ドルやユーロの購買力平価は国際通貨研究所のサイトでみられる。

1/2ページ

最終更新:4/13(土) 12:15
NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

あわせて読みたい