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企業経営者の自社株対策…「持株会社化」による株価の引下げ

4/13(土) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

資産家のタイプによって有効な相続対策は変わってくるが、企業経営者が自社株を引き継がせる「事業承継」は民法・税法のみならず会社法まで関わり、難解なイメージが付き纏う。そこで本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長であり、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役の岸田康雄公認会計士/税理士が「企業経営者」の相続対策を動画付でやさしく解説する。第20回のテーマは「持株会社化による株価の引下げ」。

持株会社化がもたらす相続税対策

持株会社化は、株式評価の引下げと株式評価の上昇の抑制の両面から効果を発揮します。まず、株式評価の引下げ効果は、複数の事業を営む会社であれば、高収益部門を会社分割によって子会社として独立させることによって実現させることができます。すなわち、分社型分割による持株会社化です[図表1]。これによって、評価会社には低収益部門が残るために、企業オーナーが所有する株式の評価を引き下げることができます。

また、複数のグループ会社を所有している場合は、既存の兄弟会社を株式交換によって100%子会社化することで、持株会社化を実現することができます。すなわち、高収益で株式評価の高いグループ会社を、低収益で株式評価の低い会社の100%子会社とすることによって、企業経営者が所有する株式の評価を引き下げることができます[図表2]。

株式保有特定会社に該当すれば割高な評価となる

持株会社化による相続税対策を実行する際、注意すべきポイントは、持株会社化することによって、評価会社が株式保有特定会社に該当してしまうことです。分社した高収益部門の規模が大きければ、子会社株式の評価額が総資産に占める割合が50%以上となり、株式保有特定会社に該当する可能性が高くなります。

そこで、特定会社外しの方法を検討することになります。すなわち、子会社株式が総資産に占める割合を50%未満に引き下げて、株式保有特定会社から外し、類似業種比準価額を使うことができるようにします。これは、純粋持株会社を事業持株会社に転換するということです。

たとえば、人事・総務・経営企画などの管理部門に係る資産および負債は持株会社に移すための会社分割を行うなどの組織再編を行います。また、子会社化された事業会社の不動産を持株会社に移すことによって、株式保有特定会社から外すことができる場合もあります。その際、不動産を子会社に対して賃貸すれば、純資産価額を下げることができます。すなわち、純資産価額の評価において、建物を貸家評価(30%低下)、土地を貸家建付地評価(概ね20%低下)とすることができます。

持株会社を株式保有特定会社から外して類似業種比準価額方式を適用することができれば、その子会社の株式評価が高まっても、評価される持株会社の株式評価にはほとんど影響はありません。つまり、持株会社を設立することによって、高収益事業の成長に伴う相続税負担の増加を抑制することが可能となるのです。

また、保有する子会社株式の評価が高まったとしても、その上昇を抑えることができます。すなわち、直接保有の場合、自社株式の「含み益」はそのすべてが評価対象となっていたのに対して、持株会社を使って間接保有した場合、子会社株式の含み益に係る法人税等相当額37%が控除されるため、それだけ株式評価の上昇を抑える効果が生じるのです。

以上のように、持株会社化には、株式評価の引下げという短期的な効果だけでなく、株式評価の上昇の抑制という長期的な効果があるのです。

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最終更新:4/13(土) 11:00
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