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食品選びから人づき合いまで 「週末ヴィーガン生活」でわかったこと

4/13(土) 15:30配信

HARBOR BUSINESS Online

 肉や魚を食べないベジタリアン(菜食主義者)は日本でも広く知られているが、近年はヴィーガン(絶対菜食主義者)の生活を送る人も増えている。果たして、その実態はどのようなものなのだろう?

◆専門店は肉食記者も満足できる味

 まずヴィーガンの定義だが、ベジタリアンと同じく肉や魚を食べないのはもちろん、卵、チーズやバターといった乳製品、はちみつなども摂取しないのが一般的だ。

 さらに毛皮や革製品、ウールを使った衣服など、動物性の素材を使用しないことも特徴のひとつ。化粧品なども動物実験されているものは避けるなど、動物愛護が徹底している。

 こうなると外食するにもひと苦労だが、近年は少しずつヴィーガンレストランも増加中。週末ともなれば予約で満席、飛び込みで入店するのが難しいほどの盛況っぷりを見せている。

 筆者も興味本位、そしてヴィーガンの友人とのつき合いで何度かこういったレストランに足を運んだことがあるが、健康的であるだけでなく、味も抜群。一度は試してみる価値があるだろう。

 日本ではまだまだその数は少ないが、欧米ではこうした専門レストランは一般的だ。一般のレストランでもメニューには原材料が明記されているし、ヴィーガンやベジタリアン向けの料理には、それを示すアイコンが載っている。

 こういったヴィーガン料理には、言われなければそれと気づかないハンバーガーやステーキなどもあるので、まずはそういった料理からチャレンジしてみるのもいいかもしれない。

◆“肉の味”を求めるのは矛盾していない

 豆腐などをベースにしながら、味はまさに肉……。あまりの“完コピ”っぷりに「結局、肉を食べたいんじゃん!」という意見もあるが、それはお門違い。排気ガスを出さないためにと電気自動車に乗っている人に対して、「結局、車に乗りたいんじゃん!」と言うようなものだろう。

 ヴィーガン生活を送る人々にとって、問題なのは料理の味や服の着心地ではなく、その過程で動物が使われているかどうかの一点。ほかのもので代替できるのならば、それを選ぶことには何の矛盾もない。

 と、ここまで長々と書き連ねてきたが、筆者はヴィーガンではない。むしろ、肉を食べすぎ、気づけば野菜や果物の摂取を怠りがちな独り暮らしのアラサーだ。以下は、そんな筆者が週末限定の“プチヴィーガン生活”を送って気づいたことを紹介したい。

◆サラダやジュースにも乳製品が

 前述のとおり、これまでもヴィーガンメニューを食べたことはあった筆者だが、意識してそういった生活を送った経験は皆無。しかし、さる週末にヴィーガンの友人宅に泊まりに行くことになり、「郷に入っては郷に従え」ということで、ものは試しとチャレンジしてみることにした。

 ヴィーガン生活初日の金曜日。最初に食べたのは友人が作ってくれた晩御飯、「ヴィーガン丼」だ。

 通販サイトや一部スーパーでも購入可能な大豆ミート、アボカドをキヌア(雑穀)に乗せたもので、牛丼と生姜焼きを足して割ったようなお味。パプリカパウダーとゴマがかかっていたが、ヴィーガンメニューでは、こういった細かな工夫、味つけが旨味を引き出すコツのようだ。

 食感もボリュームも満足度は充分。動物にも優しいし、これだけ美味しいならヴィーガン生活も悪くないかも……。と、幸先のいいスタートを切ることができた。

 しかし、そんな甘い考えはわずか数時間後に打ち砕かれることに。花金の夜が終わり、朝方友人宅に戻るころには猛烈な空腹感が押し寄せた。仕方なく帰り道はコンビニに寄って、ほろ酔いの頭をフル回転させながら、ヴィーガンのメニューを探す。

◆コンビニでヴィーガン向け食材を探すのが困難

 ところが、そもそもほとんどの商品に肉や魚が含まれているうえ、“安パイ”だと思ったサラダにもマヨネーズや卵が使われていたりと、選択肢は限りなく狭い。

 結局、納豆巻きと豆腐、ジュースを買って帰ったが、なんでも揃うはずのコンビニも、にわかヴィーガンにはハードルが高い。普段そんなことは意識せずに生活しているので、思わぬ落とし穴に驚いた。

 こうしてなんとか初日は乗り切ったつもりだったが……。翌日、冷蔵庫の中身を見た友人は、「ひとつだけヴィーガンじゃないものが入ってるよ」とポツリ。早朝、購入したジュースに牛乳が含まれていたのである。

 不幸中の幸いと言うべきか、封を開ける前だったので崖っぷちでヴィーガンチャレンジは継続となった。そんな筆者に友人が作ってくれたのは、ヴィーガンのモーニングメニュー。一見するとスクランブルエッグのようなものは、木綿豆腐とブラックソルト(カラナマック)が原材料だ。

 つけ合わせの“チーズ”は、ソイチーズ。口にしただけではそれと分からないが、こちらも植物性100%だ。

 この日の晩御飯は友人が外出していたこともあり、サラダと豆腐に納豆巻き。物足りなさは感じたが、無事にチャレンジは継続した。

◆難関は「友人との外食」

 こうして気づけばあっという間に週末最終日の日曜日。体調面でも、普段より調子がいいのではないかと感じるぐらいだったが、最後に最大の関門が……。非ヴィーガン友人との外食である。

 しかも指定されたのは、回転寿司屋。普段であれば、駆け足で向かうところだが、一切魚を食べることができないとわかっているだけに、足取りは重い。

 店内に入ると、辺り一面には食欲をそそる磯の香りが広がる。そして、目の前を新鮮な魚の乗った寿司が次々と通過していく。

 だが、こちらから「魚は食べられない」とハッキリ言うのも、なんだか申し訳ない。さりげなくカッパ巻きや(週末中食べ続けていた)納豆巻きを手に取りながら、会話に意識を向けるようにした。

 筆者はヴィーガンの友人や知り合いを食事に誘うときはいつも気を使っているつもりだったが、相手もまた口に出さないだけでこちらに気を使っていたのかもしれないと気づかされた。実際、ヴィーガン生活を送っている人に話を聞くと、次のような声が。

◆和食はヴィーガン向き?

「一緒に食事に行って、周りが肉を食べてるのが気にならないかと言えば、正直気にはなります(笑)。でも、こちらからアレコレ注文をつけると煙たがられるし……。意外と気を使わずに楽しめるのは和風居酒屋ですね。漬物とか冷奴、冷やしトマトとか、ヴィーガンなメニューが多い」(37歳・男性)

 また、以前からたびたび指摘されていることだが、外国人からはこういった意見も。

「そもそも日本がこれだけ肉食になったのは、戦後からじゃないですか? 味つけにしても昆布を使ったり、ヴィーガン料理に通ずる部分は大きいと思うんですけどね」(アメリカ人・38歳・男性)

 日本食ならではの魅力を活かしたヴィーガンメニューは、増加し続ける外国人観光客にも間違いなく好まれるだろう。

 最後に週末ヴィーガンチャレンジを終えてみた感想だが、3日間しか体験していないとはいえ、肉体面で倦怠感などを感じることはなかった。むしろ、腸内環境はいつも以上によかったぐらいである。

 しかし、食材集めや外食先といった面では、想像以上にハードルが高かった。「好きでやってるんだから、我慢するべき」と思う人もいるかもしれないが、外国人観光客やこうした生活を志向する人が増えているだけに、もう少し選択肢があってもいいはずだ。

 誤解や偏見も多いヴィーガン生活。週末だけでも一度試してみてはどうだろう?

<取材・文・撮影/林 泰人>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:4/14(日) 0:32
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