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【絶版車コラム】3気筒なのに4本だしマフラー、異色のモデル「サンパチ」!

4/14(日) 22:06配信

webオートバイ

ラムエアヘッドを載せた空冷2スト3気筒!

コントロールと効き味に優れたフロントのドラムブレーキを握り込み、角ばったボリューム感たっぷりのタンクにヒザを合わせて寝かし込む。GT380は素直にリーンを始め、路面に接地したセンタースタンドをチャチャッと鳴らしながら、コーナーのクリッピングポイントに車首を向けた。ここからセンタースタンドは擦りっぱなしなのだが、ラインを乱されることもなく、シュ~ンッ! という、いかにも精密機械が回っているというサウンドを響かせ、とてもシャープに立ち上がって行く。気持ちいい!

72年にリリースされたGT380は、その前年にシリーズの1号車として登場したGT750に次ぐ、スズキの2スト3気筒モデルだ。GT750では3つのシリンダーを直列配置にすることで、中央シリンダーが熱的に苦しくなるのを見越し、冷却に水冷方式が採用された。これは量産車で初めてのことである。

ところがGT380と、これに続くセル付きモデルのGT550は、あえて空冷で登場させているのだ。何故か? それはシリンダーヘッドの上部に、ラムエアカバーと名づけた「屋根」を載せることで、熱の溜まりやすいこの部分の空気の流れを速め、中央シリンダーを含めた冷却に自信を持っていたからだ。このあたりの配慮は、そんなことはどこ吹く風といったカワサキのマッハシリーズとは、大きく一線を画している。

ボクはGT380のすべての歴代モデルに触れているのだけれど、好みで言えば、数ある2スト3気筒車の中でも一番好きなモデルだ。先月号のマッハIIIのときにも書いたが、クランクケース幅が広くなる3気筒エンジンは、どうしても両ステップの内幅を狭くすることができない。しかしスズキの3気筒GTシリーズは、どっしりしたタンク幅、シート幅を採用することで、結果的にライディングポジションを巧みにまとめている。

弱点を逆手にとったこの手法に加え、3気筒でありながらマフラーを4本としていることも特徴だ。これは静粛性に寄与することはもちろんだが、シリーズ共通の重厚なデザインを完結させている。特にGT750では、ホンダCB750Fourの堂々としたデザインに負けないようにというオファーが、主な輸出先の北米からあったと聞く。

静粛でいながら素早く回転の立ちあがるGT380のエンジンは、絶品と言えるほどの仕上がりだ。幅広のセンタースタンドは、マッハIIIほどではないにせよ、左右のバンク角を浅くしているのだが、ハンドリングの良さに助けられて、コーナリング中の接地も唐突には感じさせない。これは適度な前後の重量配分によるものなのだろう。 筑波サーキットでのテストでは、センタースタンドが削れて行くほど、ラップタイムが上がって行く。パドックに戻ってスタンドを立てると、接地面が路面に刺さってしまうのではないかというほど削れていて、メーカーに返却するときは申しわけなく思ったものだ。

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最終更新:4/14(日) 22:06
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