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新天地を求めて大冒険に挑んだトラ、その悲劇と希望

4/14(日) 8:40配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

安全な森を捨て、人知れず1年で300km以上を移動、インド

 若いオスのトラがインド北西部で冒険の旅に出たのは、約2年前のことだった。大人になりつつあるこのトラには、自分の縄張りを見つける必要があった。だが、トラが生まれたマディヤ・プラデーシュ州のラタパニ野生生物保護区には、34頭ほどのベンガルトラがいる。そこで自分の縄張りを見つけるのは簡単なことではなかった。

ギャラリー:「トラ牧場」が支えるトラの違法取引、写真7点

 保護区の面積は824平方キロメートル。職員たちはこのトラが移動していることを知っており、足跡や木に残った爪痕を追跡していたが、それも2017年12月にラタパニを出るまでの間だった。

 保護区の森を出て、何を頼りに新天地に向かっているのかはわからなかったが、このトラは最終的に300キロメートルほど移動して隣接するグジャラート州に入った。トラがここまで長い旅をするのは珍しい。グジャラート州のトラは、30年近く前に絶滅している。

 インドの上級森林官プラクリティ・スリバスタバ氏は、このトラが森から森へ移動し、イノシシやニルガイ(アジア最大のアンテロープ)を狩りつつ旅をしていたのではないか、と話す。同氏は、カルナータカ州にある野生生物保護協会(WCS)インド支部の責任者も務めている。

 グジャラート州を旅することは、人間が支配する場所に近づくことでもある。しかし、人間に見つかることはなかった。おそらく、昼間は人目につかない茂みに隠れて休み、夜間に移動していたのだろう。

 そして2月上旬、ある教師が道を渡っているトラを見つけて携帯電話で写真を撮り、その画像をシェアした。ニュースはあっという間に広がり、州の森林局は大規模な捜索を行った。

 トラを探すため、あたりにビデオカメラを仕掛け、捜索員も動員した。すると、写真が撮影された場所の近くで、ぬかるみに残る足跡と木についた爪痕が見つかった。

 6日後、1台のカメラがトラの姿をとらえた。その画像から、5歳から7歳くらいのオスのトラと判定された。

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