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「M-1騒動」とは何だったのか?――マキタスポーツが振り返る“第一芸能界の内輪揉め”

4/14(日) 11:00配信

文春オンライン

お笑いでトップをとれる若手は「スマートなやつがほとんど」

マキタ 霜降りは優勝したあと一通りのバラエティ行脚をしてたけど、ツッコミの粗品くんは変に先輩たちに媚びることもなく、でも丁寧で、今の自分が置かれている状況にも別に期待なんかしてない様子で、堂々と振舞っていたのがよかった。

おぐら 彼は生来の芸人気質というより、お笑いマニアのタイプですよね。年末に「キングオブコント2018」で優勝したハナコにインタビューしたんですけど、決勝のネタを書いた岡部さんは早稲田大学のお笑いサークル出身で、サークルの仲間たちと一緒にお笑いライブに行って、帰りにみんなでお笑い談義をしていたと。いまやそういう青春を過ごした若者がチャンピオンになる時代なんだなって、しみじみしちゃいました。

マキタ 最近の若い子たちは、明るく朗らかにお笑いを愛してるよね。

おぐら もっと上の世代の芸人って、学生時代は友人が少なかったり、教室の隅でじっと人間観察しているようなタイプが多かったですよね。それは芸人に限らず、お笑いファンもそういうタイプが多かった。

マキタ 格闘技の世界でも、ケンカが強くてヤバいやつよりも、格闘技ファンが勝つ時代。ルールが整って以降の人たち。将棋の藤井聡太もそういう匂いがする。ルールのなかで新手を出してくる感じね。だからルールそのものを疑ったり、「俺がルールだ!」みたいな血の気の多い人間は、今お笑い芸人は目指さないよ。

おぐら 霜降り明星やハナコをみていると、お笑い芸人にならずとも、どの世界でもやっていけそうだなって思います。ベンチャー企業のアイデアマンでも、広告代理店のプランナーでも、広報や営業でも重宝されそうな。

マキタ 今のお笑いでトップをとれる若手は、どの分野でも結果を出せるようなスマートなやつがほとんどだよ。どうしようもなく芸人になったような、もし芸人になっていなかったら道端で奇人としてのたれ死ぬようなやつはまずいない。

おぐら 今は芸人でも好感度が人気に直結しますからね。不良性のある荒くれ者が人気商売をやるには厳しい時代です。

マキタ これは『ザ・カセットテープ・ミュージック』という番組を一緒にやっている‎音楽評論家のスージー鈴木さんが言ってたことだけど、80年代の曲は、たとえばイントロひとつとってみても、1億人を振り向かせるだけの気概というかエネルギーを感じるって。音楽におけるイントロは、芸人でいうところの“つかみ”で、1億人が笑う“つかみ”を考えるって相当なことだよ。不特定多数を振り向かせるのなら、良い悪いではなく「おもしろい顔」の人間とコンビを組むのが手っ取り早い。で、そういう「おもしろい顔」で大勢の人を笑わせるのって、とってもロマン主義的だよね。

おぐら なるほど。そう考えると今のお笑いは自然主義的ですね。

マキタ ミュージシャンにしても芸人にしても、自分の作家性を特定少数にアピールできるから、つかみの工夫をしなくてもいい。そうなると自然主義的になるんだよ。

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最終更新:4/15(月) 12:36
文春オンライン

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