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カート・コバーンの死後にシェールが制作、数年間公開されなかった追悼ソングを回想

4/14(日) 14:00配信

Rolling Stone Japan

1994年、ニルヴァーナ、カート・コバーンが死んだ直後にシェールが作曲したものの、2000年になるまで公表されなかったバラードについてのエピソードを回想する。

動画あり|カート・コバーンの死後にシェールが制作、数年間公開されなかった追悼ソングを回想

60年代中期から活動を続けているシェールだが、1994年まで自分で作曲したことはなかった。心境の変化が訪れたのはその年の4月、カート・コバーンの死の知らせを耳にした時だった。

「実は、彼の曲はひとつも知らないの」と、2000年にローリングストーン誌とのインタビューに答えたシェール。「なぜ影響されたのかもわからない。ただひとつ言えることは、ある朝起きたらコートニー・ラヴがMTVで彼の遺書を読み上げていて、すごく哀しくなったということ。彼に会ったこともなかったのに。私の息子が、彼の死を聞いて取り乱していたのを覚えているわ。彼の遺書の何かが、私の胸を打ったんでしょうね。あとは、彼女が遺書を読んでいるのを見て、変な感じがしたわ。すごくプライベートなことをTVで読み上げているんだもの」

そこで彼女は詩を書いた。もう何年も前から詩を書いていた。完成した詩は、フランスのマイルス・コープランド3世の城で行われていた作曲家のワークショップへ持って行った。詩に曲がつけられ、グランジポップ調のバラード「The Fall (Kurt’s Blues)」が完成した。亡きスターに対するシェールの胸を揺さぶる弔辞と、ニルヴァーナの「カム・アズ・ユー・アー」を思わせる雨音のように響くギターリフを合わせた1曲だ。ワークショップでシェールはさらに7曲書き上げたが、公表されたのは2000年。インターネット限定リリースの『not.com.mercial』で初めて世にお披露目された。シェールは当初このアルバムを所属レーベルに持って行ったが、「商業的に売れない」という、まさにアルバムタイトル通りの理由で却下された。

偶像崇拝と孤独を丁寧に描いた歌詞は、スターとしてのシェールの実体験に基づいている。「だけどあのニュースを聞いてから/私のハートはずっと空っぽ/いまのご時世、血も涙も、神もいない/自分らしく生きていくこともできない」と、曲のフィナーレで歌い上げるシェール。「いい知らせがあるとすれば/あなたは精一杯生きた/だけどこの国がヒーローを殺した/持ち上げておいて、だめにするのよ」

奇妙な偶然だが、生前のコバーンもシェールにオマージュを捧げている。はるか昔の1988年、いくつかの曲をコラージュした「モンタージュ・オブ・ヘック」の中で、コバーンは「ジプシーズ・トランプ・アンド・シーヴス」をサンプリングしている。ちなみに「モンタージュ・オブ・ヘック」は2014年に初公開された。

もちろん、「The Fall」を作曲してから最終的にリリースされる6年の間に、シェールは1998年のアルバム『ビリーヴ』と同名のシングルで、ポップ史上に残る歴史的カムバックを果たした。このアルバムで再復活した彼女が、『not.com.mercial』をリリースしたのはいささか解せない。だがシェールはこの作品を、『ビリーヴ』の次回作としてではなく、忠実なファンのためにリリースした(次回作は2001年の『リヴィング・プルーフ』)。願わくば、その後シェールが、ニルヴァーナの楽曲のせめて数曲でも聞いてくれているといいのだが。

Translated by Akiko Kato

Brittany Spanos

最終更新:4/14(日) 14:00
Rolling Stone Japan

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