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ネタニヤフ首相5選へ、イスラエル社会の分断は癒えない

4/15(月) 5:00配信

日経ビジネス

4月9日に行われたイスラエル議会(クネセト)の総選挙は、予想通りベンヤミン・ネタニヤフ首相(69歳)が率いる保守党リクードと対立候補のベニー・ガンツ元イスラエル軍参謀総長(59歳)の新党「青と白」の接戦となった。だがネタニヤフ氏が前回同様に他の右派政党と連立して政権を樹立するのが確実な情勢。ドナルド・トランプ米大統領の強力な後押しを受けたポピュリスト首相の続投により、イスラエル社会のリベラル派と保守派の間の亀裂の修復は困難になる。

イスラエルは米国に似た格差社会 資料:OECD主要国の貧困率の比較(市民を所得の多い順に並べた際に、所得が中間値の50%未満の市民の比率)

●ネタニヤフ首相が右派政党と連立政権樹立へ

 イスラエルの有力日刊紙「ハーレツ」電子版が現地時間の4月10日午後9時の時点で報じた開票状況によると、リクードと「青と白」はともに35議席を確保し横並びとなった。リクードは前回の2015年の選挙に比べて、5議席増やした。

 さらに、前回の選挙でリクードと連立した全ての右派政党が、ネタニヤフ首相を支援する方針を明らかにしたことから、彼が率いる右派連合の議席は65議席となり、過半数を確保できることが確実となった。ネタニヤフ首相は満面の笑みを浮かべながら「素晴らしい勝利だ。迅速に政権を構築する」と述べた。

 クネセトの議席数は120。したがって、政権を取るには60を超える議席を確保しなくてはならない。だがイスラエルの総選挙で、一政党が半数を超える議席を取ったことは一度もない。議論が大好きで自分の意見を曲げないイスラエルの国民性を反映して、この国の政界では小政党が乱立している。今回の選挙でも39もの政党が参加した(議会の機能マヒを防ぐために、得票率が総投票数の3.25%を超えない政党は、議席を持つことができない)。

 したがって、大政党にとって、いかに小政党を引きつけて安定した連立政権をつくるかが鍵となる。ユダヤ人至上主義を掲げる小さな右派政党や、ユダヤ教を重視する政党がキングメーカーとして重要な役割を果たすのだ。ネタニヤフ氏は国粋主義的な政策を次々に打ち出すことによって、これらの右派小政党との間に緊密なネットワークを築いている。これが彼の長期政権の基盤だ。

●汚職疑惑にもかかわらず続投へ

 たとえば2015年の総選挙でリクードは30議席しか取れなかった。しかしネタニヤフ氏は「ユダヤ人の家」「ユダヤ・トーラ連合」など5つの右派政党・宗教政党・保守中道政党と連立することによって過半数を確保した。ネタニヤフ氏は今回も全く同じパターンで勝利の栄冠を手にした。一方、今回初めて政界に打って出たガンツ氏は、連立を組むパートナーをネタニヤフ氏ほど豊富に持っていない。これが両氏の間で明暗を分けた。2015年の総選挙で右派連立政権に参加した政党の議席数

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最終更新:4/15(月) 5:00
日経ビジネス

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