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【張本勲の“喝”】歴代の最強打者たちは確かな技術を持っていた/張本勲コラム

4/16(火) 10:59配信

週刊ベースボールONLINE

 イチローの引退については、週刊ベースボール別冊の引退号に寄稿させてもらった。80年以上のプロ野球の歴史の中で、私が考える最強の右バッター5人、左バッター5人がいる。右バッターは別当薫さん(元毎日ほか)、藤村富美男さん(元阪神)、中西太さん(元西鉄)、長嶋茂雄さん(元巨人)、落合博満(元ロッテほか)。左バッターは大下弘さん(元東急ほか)、川上哲治さん(元巨人)、王貞治(元巨人)、私も入れてもらい、そしてイチローだ。

 この中に名を連ねてもおかしくないだけの才能を持ちながら、「もったいない」と思わせたバッターもいる。松井秀喜(元巨人ほか)は足を上げ過ぎていたため目線が上下にぶれることがあった。それがなければ、さらにスケールの大きなバッターになっていたはずだ。一番もったいなかったのは清原和博(元西武ほか)だ。右バッターで右中間の上段にぶち込むのは誰もができることではない。だが清原はステップが広過ぎた。あれではヒザに余裕が生まれず、ピッチャーが7つも8つも投げ込んでくる変化球を正確に、強く打つことは難しくなる。

 今のバッターで「もったいない」のは筒香嘉智(DeNA)や中田翔(日本ハム)だろう。中田などは普通にやれば40本くらいホームランを打てるバッターなのだが。今年はいいスタートを切ったようだが、果たしてどこまでやってくれるか。

 話を打高投低に戻す。バッティングには基本があり、技術が必要になる。今の打高投低の状況は、バッターが技術を磨かなくともボールが勝手に飛んでいく。そんな中から、私が挙げた右バッター5人、左バッター5人に匹敵するような選手は生まれてこない。

「お前はバッターだったのだから打高投低でいいじゃないか」などという人もいるが、そんな問題ではない。私はピッチャーも含めたプロ野球全体が心配だから言っているのだ。ピッチャーは不平等を押しつけられ、バッターは技術を磨く機会を奪われる。何よりそんな野球を見せられるファンが一番不幸だ。日本人の平等の精神にのっとり、ピッチャーとバッターが公平な条件で戦うようにするために、今の打高投低の状況は絶対に変えていかなければならない。

●張本勲(はりもと・いさお)
1940年6月19日生まれ。広島県出身。左投左打。広島・松本商高から大阪・浪華商高を経て59年に東映(のち日拓、日本ハム)へ入団して新人王に。61年に首位打者に輝き、以降も広角に打ち分けるスプレー打法で安打を量産。長打力と俊足を兼ね備えた安打製造機として7度の首位打者に輝く。76年に巨人へ移籍して長嶋茂雄監督の初優勝に貢献。80年にロッテへ移籍し、翌81年限りで引退。通算3085安打をはじめ数々の史上最多記録を打ち立てた。90年野球殿堂入り。現役時代の通算成績は2752試合、3085安打、504本塁打、1676打点、319盗塁、打率.319

写真=BBM

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最終更新:5/4(土) 10:50
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