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巨人・今村信貴「チームに貢献したい。今はその思いだけ」

4/16(火) 11:05配信

週刊ベースボールONLINE

財産と出会い

生え抜きの8年目左腕には、譲れないターゲットがある。出会いに恵まれ、大きな舞台も経験した。信頼を、形に変える1年にする。
写真=福島定一(スポーツライター)、写真=桜井ひとし、BBM

 2019年、原辰徳監督が復帰した巨人の開幕先発ローテーションに今村信貴の名前はなかった。菅野智之、山口俊、T.ヤングマン、C.C.メルセデスの4枠は早々に埋まり、残り2枠を争ってきたが、畠世周とドラフト1位左腕・高橋優貴に奪われた。「チャンスはいただいたのに、自分の力不足です。悔しいです。ただただ、悔しい。それしか言葉が出てきません」。開幕数日前、声を絞り出すように率直な心境を吐露している。

 ローテーション6枠には入れなかったものの、一方でロングリリーフも可能な左腕として、開幕一軍に名を連ねた。もちろん気持ちは切り替えている。

「開幕ローテに入れなかったことと、チームに貢献するのは別の話。当たり前ですが、チームに貢献したい。今はその思いだけですね」

 出番に備え、ブルペンで入念な準備をする日々。試合展開を見ながら水野雄仁投手コーチの指示を受け、アップや投球練習を開始する。ここで結果を示すことこそが、再び先発投手の切符を手にできる近道にもなる。

 開幕ローテーションが正式に決まったのが3月24日。その一週間前、今村は夢の時間を過ごしていた。東京ドームのマウンドに立ち、対するはシアトル・マリナーズ。目の前には、あのイチローがいた。「打席に迎えて、“本物だ”って思いました。小さいころからテレビでずっと観てましたから。イチローさんと対決できるなんて夢みたいでした」。緊張とともに、高まる鼓動。開幕ローテーション争い真っただ中の今村は結果も欲しかったが、「真っすぐがどこまで通用するか試してみたかった」とあえて直球勝負を選択。1打席目は中飛。2打席目は二ゴロと2打数無安打に抑えた。

「イチローさんは調整中でしたし、真剣勝負ではなかったと思う。それでも僕には大きな自信になった」。試合後も興奮は冷めなかった。野球を始めた小学生時代から投手一筋だった左腕にとっても、イチローは特別な存在。「僕の中ではオリックスのイチローさんというよりも、マリナーズのイチローさんというイメージのほうが大きい」。同じ左打ち。幼いころは代名詞の“振り子打法”をマネて打席にも入った。イチローは今村との対戦から間もなくして、「引退」という大きな、大きな決断を下したが、そんなあこがれの人と最後の最後に対戦できたこと。さらに、抑えられたこと。これらはかけがえのない財産として蓄積された。

 シーズン前の1月には、かけがえのない存在も手にしていた。神奈川県茅ヶ崎市出身の2歳年上の一般女性と結婚。同月23日に婚姻届を提出し「家族ができるわけなので、養って、一家の柱となれるように。より一層頑張ろうと思います」と生涯の伴侶を前に誓った。

 出会いは約5年前にさかのぼる。知人の紹介で食事をした際に一目惚れ。ほどなく交際を始め、昨年からは結婚を前提にして同棲もスタートしていた。その昨季は自己最多の6勝で頭角を現している。活躍の足がかりをつくった昨季の背景には、愛妻のサポートがあった。

 妻はアスリートフードマイスターの資格を取得。餃子店を営む祖父直伝の特製餃子をはじめ、栄養を考えた品数の多い食事で今村を支える。「とにかくご飯がおいしい。何を食べてもおいしいんです。餃子もおじいちゃんの特製の味付けを受け継いでいて、最高ですね」とはにかむ。一人暮らし中はどうしても食事がおろそかになってしまうときがあった。今は自宅に帰れば栄養たっぷりの食事が待っている。「僕が帰る時間が遅いから大変だと思いますが、嫌な顔一つしないでやってくれているので感謝しかない」。開幕ローテーション入りこそ逃したが、恩返しはマウンドで示すつもりだ。

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最終更新:5/4(土) 10:50
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